ロンドン食と農の便り(Monthly Report)

ロンドンの食とイギリスの農業について毎月レポートを書きます。

最終回 お世話になった皆さんへ ロンドンの日本食レストラン総特集

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ロンドン滞在中の3年間、数多くの日本食レストランを訪問した。仕事で知り合った英国人に人生初となる日本食を紹介したり、職場の仲間と夜更けまで居酒屋で飲み明かしたり。

近年急速に発展を遂げるロンドンのレストラン界をけん引するのは、紛れもなく日本食だ。超高級店から大衆居酒屋まで、バラエティ溢れる日本食レストランがロンドン中で活躍している。

何度も足を運んで顔なじみとなったお店もたくさんあり、皆さんには大変お世話になった。最終回となる今回、できるだけ多くのお店をご紹介したい。

 

1.UMU

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ロンドンには、ミシュラン2つ星以上を持つレストランが12店しかない。そのうちの2つを日本食レストランが占めるというだけで、私たちもなんだか鼻が高い気持ちになる。

超高級レストランの密集するMayfair(メイフェア)地区の細い路地のつきあたり。UMU(ウム)の石井総料理長は、嵐山吉兆で修業した京料理の神髄をこの地に持ち込み、5年余りで2つ星の超高級店に仕立て上げた。

f:id:LarryTK:20180716184323j:plain 石井シェフの作り上げる小京都

素材にこだわり、味付けにこだわり、盛り付けにこだわる石井シェフの頑固一徹さには、周囲の者を軽々しく寄せ付けない厳しさがある。しかし、その厳しさの中で創作される作品にこそ、客を感嘆させる美味しさと美しさが宿る。

ロンドンに集結する世界一のお金持ちと世界一辛口な批評家を相手に、最高級の料理とサービスを提供するには、並大抵の努力では済まない。石井シェフは、この地でひとり世界トップレベルの戦いを挑み続けている。

 

2.Ikeda

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その昔、ロンドンに日本食レストランなどほとんど見当たらなかった頃、まともな日本食を出す店はIkeda(イケダ)くらいだったと聞く。

Mayfairに店を構えて30年以上の歴史をもつIkedaは、今もなお、極めて高いクオリティの和食を提供し続ける。ちらし寿司やトンカツ、焼き魚定食など、日本人にお馴染みの定番メニューに舌鼓を打つのは、ほとんどが白人やアジア人で、いかにも日本びいきな外国人の隠れ家のようだ。

f:id:LarryTK:20180716162952j:plain my favourite!

どれを注文しても美味しいことは間違いないが、その中でも私のお勧めは「うな重」だ。店の内装もサービスも日本そのもので、ふっくらと焼きあがった鰻を頬張っていると、まるで東京の小料理屋に座っているような錯覚に襲われる。

 

3.So Restaurant 

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Mayfairのレストランは高級店すぎて、プライベートで訪れるには敷居が高いと感じる方には、Regent Street(リージェント通り)を隔てたSoho(ソーホー)地区にまで足を延ばすことをお勧めする。

いつも陽気な浜オーナーのお店So Restaurant(ソー・レストラン)は、カジュアルな雰囲気の日本食レストランだが、料理の質の高さは折り紙付きである。山本ヘッドシェフのバックグラウンドであるフレンチテイストの加わった和食メニューは、見ても楽しく食べても美味しいと、常連客の評判も高い。

f:id:LarryTK:20180716162800j:plain フレンチ風和風ローストダック

ランチのちらし寿司など、リーズナブルなお勧め料理が数ある中で、フレンチっぽく鴨を使った料理もあって、バラエティ豊かなメニューに心躍らされる。実はこのお店には、中国系のお客さんが必ず注文する裏メニューもあるのだが、その内容はここでは秘密にしておく。

 

4.Engawa

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同じくSohoにあるEngawa(エンガワ)は、その名のとおり縁側のような小さなスペースで営業を続ける可愛らしいお店である。

店の一押し「箱膳弁当ボックス」もまた、可愛らしい小皿が詰め込まれた豪華な宝石箱のようで、弁当箱の蓋が開けられるたびに、店のあちらこちらでお客さんの黄色い歓声が上がる。

カウンターの向こうでは、清水シェフがそのいかつい体をぎゅっと縮めて繊細な手仕事に没頭している。その姿がとても微笑ましくて、食事中もついつい目が行ってしまう。

清水シェフの和食に対する情熱は、彼の名前そのままに、ロンドン西部Kensington(ケンジントン)地区のJapan House内にオープンしたAkira(明)にて、新たな料理のスタイルを提案し始めた。Japan Houseの行く末ともども、今後の展開に目が離せない。

 

5.Yashin

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Kensingtonでは、2010年にオープンしたYashin(ヤシン)グループの2店舗(Sushi & Bar/Ocean House)が老舗の貫禄を誇っている。

店の創始者でもありヘッドシェフでもあるヤッさんと シンヤさんは、店の外では漫才コンビのようなひょうきんなお兄さんたちだが、寿司カウンターに立った瞬間に、逞しい料理人へと変身する。

f:id:LarryTK:20180721234419j:plain カプチーノ味噌汁には日本人も英国人もびっくり

日本食レストランをロンドンへ持ち込んだ先駆者として、彼らは正統派の和食料理を作るだけでは物足りないようだ。イギリス人に受け入れられやすい和食とは何かを常に探求し、醤油不要の寿司やドライアイスの吹き出す刺身皿など、誰にでも食べやすく、見た目にも楽しいスタイルのメニューを次々と生み出してきた。

今もなお、魅力的な日本食材に出会うと、いかにメニューに取り込めるかと試行錯誤を繰り返している。お店を訪れるたびに新しい発見を提供してくれる私の自慢のお店だ。

 

6.Sake no Hana

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和食を食べるのは生涯初めてという英国人をランチに誘うとき、まず私が連れて行くのが、St James's Street(セント・ジェームズ通り)にあるSake no Hana(酒の花)だ。

ロンドンを拠点に高級レストランを世界へ展開するHakkasanグループが初めて手掛ける日本食レストランであり、その成功をもって今年中にジャカルタとバリに支店を出すという。

f:id:LarryTK:20180716163140j:plain 鮮烈なスタイルの透明弁当ボックス

エスカレータを上ると、眩しいほどに明るい店内が目の前に広がり、春には天井いっぱいに桜が飾り付けられる。ドレス姿の女性たちが笑顔で食事をしている。すべてが美しい。

弁当ボックスが透明なアクリルケースに入って運ばれてくるとき、私たちの常識を遥かに超えた和食の姿が提案されていることに気づかされる。しかし、料理の味には揺るぎがない。なぜなら樋渡ヘッドシェフが常にカウンターで目を光らせているからだ。ロンドンから発信される新たな和食のスタイルが、近い将来には世界の常識となるかもしれない。

 

7.Sosharu

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ミシュラン一つ星のPollen Street Socialを経営するJason Athertonが、ロンドン東部Farringdon(ファリンドン)に初の日本食レストランSosharu(ソーシャル)をオープンした。

洗練されたバーにスタイリッシュなテーブル、耳触りのいい音楽と、いま流行りのレストランが必ず揃えているヨーロピアンなファッションに、バーの真ん中にかき氷マシーンを据え、通路の壁紙に日本語の看板をプリントして、日本文化がカッコよく注入されている。

f:id:LarryTK:20180716194846j:plain 私の一番人気、抹茶ミルフィーユ

新進気鋭のヘッドシェフAlex(アレックス)の生み出す料理もまた、ヨーロッパと日本の食文化のカッコいい融合である。Alexの手にかかれば、ちらし寿司も鶏のから揚げも、彼にしか創作できない独特の魅力を発しはじめる。

Alexが日本を旅して和食の奥深さを経験するたびに、新しいスタイルの和食が次々と湧き出てくるのを見てきた。将来彼がどのような和食を生み出すことになるのか、誰も予測することはできない。

 

8.Nambu Tei

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ジャンルはコロッと一変し、私たち日本人駐在員が足繫く通う居酒屋をいくつか紹介したい。

Baker Street(ベーカーストリート)の駅前に、新橋高架下のような光景が潜んでいる。有名なシャーロックホームズ博物館のすぐ近くだ。

ここはNambu Tei(南部亭)。定番の居酒屋メニューを注文し、いいちこのお湯割りを啜っていると、昭和時代の日本にタイムスリップしたような気持ちに包まれる。

職場の同僚との忘年会には、地下階のお座敷を早めに予約して、すき焼き鍋を注文しておくことをお勧めする。ロンドンの長い長い夜を楽しく過ごす秘訣がここにある。

 

9.Seto

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ロンドン北東部のごちゃごちゃした街 Camden Town(カムデンタウン)は、居酒屋の宝庫でもある。店のスタイルは様々だが、どの店も値段はリーズナブルで、友だち同士でも気軽に入れるのがうれしい。

Seto(瀬戸)はそんな財布に優しいお店の代表格だ。一部の人たちに「聖地」と呼ばれるこのお店でたらふく飲んで食べて、閉店になるまで何度居座ったことか。

Setoの居酒屋メニューはたいへん評判が高い。餃子が最高だという人もいれば、肉野菜炒めが絶品だという人もいるが、私は敢えて締めのラーメンを挙げる。このお店は以前は「ラーメンSeto」の看板を掲げていたそうで、コース料理の最後にはお腹に優しいラーメンが必ず付いてくる。ただし、それまでの美味しい料理を食べ過ぎて、ラーメンがお腹に入らない人が続出する。そこが大問題だ。

f:id:LarryTK:20180716162700j:plain いろいろご迷惑おかけしました

 

Camden Townにあるもう一つの名店、Asakusa(浅草)も紹介しておきたい。

ロンドンに駐在する日系食品業者の皆さんに人気投票をとったところ、断トツの一位となったこの居酒屋は、浅草の雰囲気そのままのお店だ。特に、昭和のカラオケスナックのような地下階で、ロンドンで最もおいしいぬた和えを食べていると、日本人に生まれてよかったなどと感慨に耽ってしまう。

ただし、日本駐在歴のあるようなコアな日本通の英国人にも、この店はよく知られているらしい。宴会をするには早めの予約が必須だ。

f:id:LarryTK:20180809213110j:plain その名のとおりの店構え

   

10. Shimogamo

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Camden Townはロンドンにおける流行発信地であり、新しいスタイルのレストランが次々と誕生してくる土地柄でもある。

各国料理店の立ち並ぶ大通りに店を構えるShimogamo(下鴨)も、ガラス張りの向こうにバーカウンターの見えるオシャレな店構えで、他のレストランと競うように、道行く若者を振り向かせる。デートや友達とのディナーの場所を探している彼らにとって、お店選びのポイントは、オシャレなお店であることと、ちょっと風変わりな美味しい料理を食べられることだ。

2012年にここに店を構えたShimogamoは、カジュアルな居酒屋スタイルと本格的な和食を合わせて提案することで、移り気な若者たちの心をしっかりと掴み、レストラン激戦区を生き抜いてきた。さらに5年後には、このカジュアル居酒屋スタイルは、ロンドンを一世風靡しているかもしれない。

 f:id:LarryTK:20180716163350j:plain 豚の角煮で世界へ打って出る

 

Camden Townのさらに東側、Angel(エンジェル)は10年前には一人で出歩いてはいけない地区と言われていた。しかし時代は激しく変化している。Shimogamoと同じ2012年に店を構えたZen Mondo(禅問答)もまた、ロンドンの新たな流行に乗って大きくはばたく準備をしているようだ。

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11. Sasuke

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ラーメン好きの私にとって、ロンドンで近年ラーメン店が急増してきたのは、大変ありがたい風潮だ。中でも、ロンドンでたぶん唯一つけ麺が食べられるSasuke(佐助)は、私のいちばんのお気に入りである。

このお店、私が滞在していた3年の間に、実に3度も店の位置を変え、その度に私たちファンを路頭に迷わせた。一時はつけ麺がメニューから消えて、大いにハラハラさせられることもあったが、何とか今に至るまで、極太麺を濃厚スープで食べるという正統派のつけ麺を提供し続けてくれている。

f:id:LarryTK:20180812211359j:plain 今は無きSoho店

現在は、観覧車London Eye(ロンドンアイ)を目指して観光客が多数往来する通りの「裏側」に店を構える。普段あまり通ることのないその場所にSasukeの新店舗を見つけたときには、興奮を隠せなかった。そして、いつまた私の目前から隠れてしまうのかと不安になり、食べられるうちにと思ってつけ麺を注文した。結局3年間この繰り返しであり、私はこの店でつけ麺以外を食べたことが無い。

 

12. Sakagura

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Japan Centre(ジャパンセンター)の徳峰会長は、常に時代の先端を走り続けている。30年前に日本食材スーパーJapan Centreを、10年前にオンラインショップを立ち上げ、2012年にはラーメンショップShoryu(昇龍)をいち早くチェーン展開した。そして2016年、満を持して日本食レストランSakagura(酒蔵)をオープンさせた。

高級店街Regent Streetから一本奥へ入ったHeddon Street(ヘドンストリート)は不思議な通りだ。狭くて短い道の両側にレストランがギュウギュウ詰めになっていて、道の真ん中にまでテラス席を張り出している。昼間からあちらこちらで若者のグループが大騒ぎしていて、「今日はお祭りの日か」と毎日思ってしまう。

そんな通りのど真ん中にSakaguraがオープンしたとき、周囲の人々から「日本食をやる場所に相応しくないのでは」と心配する声が聞こえたが、いやいや、これこそが徳峰会長の狙いだったのである。

論より証拠、Sakaguraのテラス席に座ってみればよい。会長の懐刀、古川シェフが真心こめて準備した石焼ステーキを自分で焼きながら酒カクテルを飲んでいると、みるみる気分が高揚し、いつの間にか自分もHeddon Streetのお祭りに参加していることに気づく。隣の店の客とハイタッチしたくなってくるくらいだ。

f:id:LarryTK:20180716172622j:plain デザートに梅酒をかけて美味しくいただく

オーセンティックな高級和食を行儀よく食べるのもよいが、少し姿勢を崩して、仲間とわいわい楽しく食べるのも、和食の醍醐味ではないか。Sakaguraのコンセプトが浸透していくにつれて、英国人のお客さんが次々を来店するようになった。徳峰会長の新たなチャレンジが花開きつつある。

 

13. Tokimeite

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私が着任して間もなく、全農の経営するTokimeite(トキメイテ)がMayfairのど真ん中にオープンした。それ以来、全農の旗艦店として、さらに我が国の農産物輸出促進の前線基地として、日本国内外から大きな期待と、それと同じくらいの懸念を一身に受け止め、この店が常に難しいかじ取りを行ってきたことを、至近距離から見させていただくこととなった。

Tokimeiteに数えきれないほど足を運んだ私が学んだことは、ロンドンでは、初めて訪れる客をたちどころに満足させ、かつ、何度も訪れる客を常に飽きさせないレベルの料理とサービスを提供できる店だけが生き残っていくということと、その答えの見つけ方は、店ごとに違っていてもいいのだ、ということであった。

f:id:LarryTK:20180813180705j:plain f:id:LarryTK:20180716195134j:plain 究極の先付「八寸」

京都菊乃井の村田吉弘主人の愛弟子として、その大きな期待を受けてTokimeiteの厨房に立つ林シェフは、和食の素晴らしさを世界に広めたいという強い信念をもって、今日も包丁を握り続ける。

これまで見てきたとおり、ロンドンには、レストランの数だけの和食のスタイルが存在する。その中核にあって、Tokimeiteはどのような和食を作り出すべきなのか。多くの人々から注目を浴びるなかで、答えを出すことは外野から見えるほど簡単ではない。

私はシンプルにこう思う。林シェフの作りたいと考える和食がTokimeiteの和食だ。きっとそれは、「和食の王道」としてロンドン中のレストランに影響を及ぼすことになるだろう。すでにTokimeiteは和食の王道を目指して始動している。スタッフの皆さんの活躍を頼もしく感じつつ、末永く応援させていただきたい。

 

最後の最後に 

これだけたくさんの日本食レストランを紹介しても、まだまだ紹介し足りない。現地批評家から高い評価を受けるYen、イギリス人の絶大な人気を誇るZumaやRoka、有名人御用達の小さな居酒屋Mai Food、鮮魚店直営のSushi Bar Atariya、リピーターの絶えないCube、いわくつきのKurobuta、若者の味方Eat Tokyo、我々の御用達Miyamaなどなどなどなど。

皆さんのおかげで、私の3年間のイギリス滞在は大変充実したものとなった。私の生活を支えていただいたすべての方々に感謝させていただきたい。

最後に、3年間このブログを読んでいただいた皆さんにも感謝。また近いうちに戻ってきます!

第36回 6月の週末は農場へGO!

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イギリス中が待ちに待った6月。夜9時過ぎまで明るくて、半袖で外出できるほどに暖かくなってくると、屋外でのイベントが目白押しとなります。

農場や庭園でも、ふだんは一般人の立ち入れない区域が開放されて、いろいろなイベントが行われます。農場好きの私たちには願ってもないチャンスですよ!

 

1.都会の農園

ロンドンの住宅街を歩いていると、緑豊かな庭園に突然出くわして、しかもそこだけ鉄格子で囲われて立ち入れなくなっていることがあります。そういった庭園を年に一度開放しようという取り組みが "Open Garden Squares Weekend" です。

ホームページに掲載された数多くの庭園の中から、目ざとく"Kitchen Garden"(キッチンガーデン)というタイトルを発見。またまた美味しそうな匂いがするではありませんか!

 

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ロンドン北西部、Ladbroke Grove地区は静かな住宅街。道の両側に家が立ち並ぶSt Quintin通りを歩いていくと、住宅の途切れた一画にカラフルな風船を見つけました。

ここが今回の訪問地、St Quintin Community Kitchen Gardenです。

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元はテニスコートだったという小さな敷地内に、木板で囲われた花壇がいくつも並んでいます。しかし植わっているのは草花ではなく、野菜やハーブばかり。

青々と茂ったトマトの葉っぱをこっちの花壇で見つけたと思ったら、あっちにはまだ背丈の低いトマトがあったりして、どうも統一感を欠きます。ここはいったい何なのでしょうか。

 

よく観察してみると、ひとつの花壇がさらに2~3の区画に分割されていて、それぞれに番号が振られているのがわかります。隣り合った区画でも、野菜の種類や育ち方が全然違っています。

f:id:LarryTK:20180701143346j:plain L字型の花壇が3区画に分割されている

ようやく気付きました。ここは市民農園なんです。分割された小さな区画ごとに市民に貸し出されているのです。

運営の方に尋ねたところ、ここはRoyal Borough of Kensington & Chelsea (ケンジントン・チェルシー区)の管理する市民農園で、約100区画が貸し出されているとのこと。とても人気が高く、5年待ちのウェイティングリストができているそうです。

 

英国ではどの家にも庭が付いていて、野菜や花を大切に育てていますが、アパート暮らしの人々は庭を持つことができません。そこでこうやって区画を借りて、せっせと野菜を育てているのです。

この一区画が、借主にとってかけがえのない畑なのです。畑の真ん中にドカンと棒を立ててインゲン豆を育てている人もいれば、あちらにレタスをちょこっと、こちらにニンジンをちょこっと植えている人もいて、それぞれが創意工夫してこの小さな畑を精一杯に使っています。統一感の無さは個性の現れなのです。

 

 f:id:LarryTK:20180701143415j:plain 懸命に働くお兄さん

屈強な体格のお兄さんが畑仕事に精を出しています。声をかけて、兄さんの畑に案内してもらいました。

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これはなんとも立派な!

20種類以上の野菜や豆、ハーブが小さな畑ですくすくと育っています。5年前に始めた頃はうまく根付かなかった野菜も、工夫を重ねるうちに立派に成長するようになったとのこと。今年もまた新たな種類に挑戦して、試行錯誤を繰り返していると楽しそうに話してくれました。

 

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この市民農園がオープンしたのは2009年。区内初の取り組みとして大きな注目を集めたとのこと。当初は造園の専門家が派遣されて、利用者に畑づくりなどを教えていたそうですが、さっきのお兄さんのような上級者も現れ、活気あふれる農園となりました。現在では、区内各地にこのような市民農園が作られ、多くの市民に利用されています。

仕事帰りに畑を覗いて手入れするのが日課だというお兄さん。農園は、英国人にとっての心のふるさと。面積は小さくても、大都市ロンドンでの慌ただしい市民生活に潤いをもたらす貴重な場所となっているようです。

 

2.ロンドン郊外の野菜畑

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今年も待ちに待ったOpen Farm Sunday(オープンファームサンデー)がやってきました。英国中の農場が一斉に開放される年に一度のお祭り。3年前から参加している私も、今年はどこへ行こうかと胸が高鳴ります。

過去2年は酪農・畜産を訪問したので、今年は野菜農家を見たいなとホームページを検索します。どんな作物を栽培しているか、どういったイベントを開催するかなど、アイコン化されて一目でわかるようになっていて、とっても便利。

 

そして見つけたのが、ケント州にある Laurence J Betts 社のChurch Farm。栽培作物は "salad"(サラダ)となっています。サラダ菜専門農家?これは興味津々です。

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ロンドンから車で1時間。予想外に大規模で近代的な施設にビックリ。このデカいトラクターでサラダ菜を刈り取るわけ??今日は学ぶことがたくさんありそうです。

 

まずは恒例のトラクターツアーで農場内を案内してもらいます。これまたドデカいトラクター3台がフル稼働でお客さんを運んでいます。

f:id:LarryTK:20180715003730j:plain 1時間の農場ツアーに出発

この土地の農場としての歴史は1,000年前から続いていて、社名の由来であるBetts家がここで農業を始めたのが100年前とのこと。古い権利関係の記録がしっかりと残されているのですね。

この農場は130haの広さがあって、サラダ菜と麦類のローテーション栽培を行っているそうです。130haのサラダ菜畑とはいかに??

 

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ずず~ん。

見渡す限り、地平線のかなたまで、サラダ菜。見に来てよかった。

 

隣の畑では、トラクターを使ったデモンストレーションが始まりました。 

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野菜移植機。畝にくぼみを作って苗を落としていきます。トラクターの後ろにいるお姉さんたちが足で土を被せます。

聞きたいことがあってお姉さんに声をかけてみましたが、英語があまりお得意ではない模様。EU離脱懐疑派が、イギリス農業は東欧から出稼ぎに来る移民に支えられていると主張していますが、実際にこういうことなんですね。 

f:id:LarryTK:20180715003944j:plain ビデオでお見せしたかった

続いてこちら。hoeing(ホーイング:くわ入れ?)というので何のことかと見ていたら、長~い棒のようなものが伸びてきて、苗の周りをクルクルと回ります。これで土を掻き回して除草するらしい。

くわが苗をなぎ倒すことは無いのかとハラハラしていましたが、上手に苗を回避していきます。どうしてそんなにうまくいくのかと尋ねたら、運転席にモニターが付いていて、進路を微妙にコントロールしているとのこと。何気にハイテク機器でした。日本にもあるのかな?

 

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トラクターツアーの途中で、サラダ菜の収穫作業に遭遇しました。幅広い収穫機の後ろにお姉さんたちが並んで、一つ一つ丁寧に刈り取っていきます。やっぱりこれは手作業なんですね。

私たちも収穫作業を体験できるようです。お姉さんの手ほどきで、ナイフを使ってサラダ菜を刈り取ります。

f:id:LarryTK:20180715004133j:plain 自分の刈ったサラダ菜を持ち帰れると聞いて喜ぶおじさん

その後、パック詰め工場も見学して、気が付いたらもう夕方。まるまる一日をこの農場で過ごしました。夕食の食卓に産地直送の瑞々しいサラダが彩りを添え、サラダづくしの充実した日曜日となりました。

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後日、Borough Market(バラマーケット)で買い物をしていたら、八百屋さんで L. J. Betts ブランドを発見。私たちの見てきたサラダ菜は、多くのロンドン市民に愛されているのですね。

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3年間、イギリスの食と農の様々な姿を皆さんとみてきました。何気なく前を通り過ぎていたお店や土地にも、それぞれに長い歴史や深い社会背景があって、知れば知るほどその魅力に引き込まれていく日々でした。この国を知り尽くすには、3年では全然足りませんね。いつかまた、続編を書ける日が来ることを願います。

次回は最終回。私が3年間お世話になったロンドンの日本食レストランをできるだけたくさんご紹介したいと思います。 

第35回 英国地物の魚を探し求める旅

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イギリスは日本と同じく海に囲まれた小さな島国だ。英国近海で獲れる新鮮な魚が豊富にあってもいいはずだが、ロンドンのスーパーで見かけるのはタラとサーモンの切り身ばかり。

f:id:LarryTK:20180617185727j:plain タラの切り身とサーモンの切り身とタラの切り身

それならいっそ港町まで行って、地物の魚をゲットしようではないか。ところが、海まで出て行っても目に入るのはFish & Chipsの店ばかり。残念ながらみんなが手に持っているそれはたぶん地物ではない。原料となるタラは北海で大量に捕獲され、冷凍状態で全国に運ばれてくるのが一般的だ。

f:id:LarryTK:20180617190406j:plain Fish & Chipsの隣にFish & Chips

イギリスでは新鮮な魚を手に入れることができないのだろうか。いや、諦めるのはまだ早い。頑張ればきっと美味しい魚に辿り着けるはず。

こうして私は、新鮮な魚介類を探し求めて英国内を彷徨い歩くことになった。今回はその足跡を振り返ってみたい。3年かけて辿り着いた結論は、「事前の十分な下調べ」と「人波に逆らって歩いていく勇気」があれば、美味しいお魚に必ず出会うことができるということだ。

 

1.ポーツマスにて 

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英国海軍の拠点港 Portsmouth(ポーツマス)は、歴史的な軍艦の隣に最新鋭の護衛艦が並ぶユニークな街だ。

港町だから美味しいシーフードレストランがたくさんあるはずと高を括っていたのが間違いの始まりだった。オシャレなショッピングモールに入っていたのは、ロンドンにもあるピザやチキンのチェーン店ばかり。

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街中を歩き回ってようやく見つけたシーフードレストランに入る。街に一軒しかないように思われたそのお店はとても繁盛していて、私もサーモンやムール貝の盛られたシーフードプラッターを美味しくいただいた。

すべて平らげた後にメニューを見返していたら、「魚介類はスコットランドから直送しています」との説明を見つける。イギリスの北の端から南の端の港町までわざわざお魚を運搬しているというのだ!

 

この港には地物の魚は揚がらないのか。。翌朝、諦めきれずに旧市街をウロウロ歩いていると、小さな漁船を発見。やはりここは漁港でもあったのだ。 

f:id:LarryTK:20180611041606j:plain とうとう漁船を発見!!

漁船を見つけた区域は倉庫街のようになっていて、観光客が足を延ばすようなところではない。

立ち並ぶ倉庫の一角に鮮魚卸商の店舗を見つけた。個人客も歓迎という看板を信じて、おそるおそる中を覗く。

f:id:LarryTK:20180611041447j:plain f:id:LarryTK:20180611041509j:plain f:id:LarryTK:20180611041533j:plain 魚たちがわいわいがやがや

ありましたありました!

新鮮な魚介類がショーケースからこぼれ落ちんばかりに並んでいる。活きたエビとカニもいる。明らかに今朝ここで水揚げされましたという出で立ちだ。

f:id:LarryTK:20180611041627j:plain f:id:LarryTK:20180611041649j:plain

何尾かをまとめ買いしていく地元民らしき人たちが出入りしている。旅の途中の私たちは活魚を買うわけにもいかないので、茹であがったばかりのロブスターを一尾購入した。狭いホテルの部屋で悪戦苦闘しながら食らいつくと、凝縮されたうまみが口の中に広がって、思わずうっとりしてしまう。

 

2.イギリスのお魚事情  

ロンドンで魚に詳しい日本人といえば、駐妻のアイドル「プリヒル姉さん」を真っ先に思いつく。お名前のとおりPrimrose Hill(プリムローズヒル)が拠点だが、週に一度Marble Arch(マーブルアーチ)のお店に出てこられるとのことで、そちらへおじゃまして勉強させていただいた。

f:id:LarryTK:20180611045046j:plain f:id:LarryTK:20180611045117j:plain 和風おつまみがいっぱい

今回は事前にお刺身を注文して作っていただいた。ついでにお魚の原産地を根掘り葉掘り伺う。

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お刺身5点盛りの中身は、キハダマグロ(スリランカ)、サーモン(スコットランド)、シーバス(フランス)、ハマチ(日本)、ホタテ(日本)。なぜ英国産はサーモンだけなのか。その理由を姉さんは次のように語る。

  • 英国近海では獲れない魚が日本人のお好み(マグロなど)
  • 刺身にできる魚がいつどこで水揚げされるか予測不可能
  • 魚が手に入っても、丸々一尾分のお刺身の買い手を見つけるのは難しい
  • このため、英国の魚を刺身盛りに入れると値段が高くなる
なるほどなるほどと、いちいち深くうなずく。

刺身用の魚は入手困難だとしても、調理用であれば、英国近海で獲れた魚を見つけることはできるという。プリヒル姉さんのお店にも、英国産のお魚がたくさん並んでいた。

f:id:LarryTK:20180611045209j:plain f:id:LarryTK:20180611045228j:plain レモンソールの姿焼

英国南西に突き出たCornwall(コーンウォール)半島から直送されたレモンソールを買った。夕食はお刺身とレモンソールの姿焼。潮の香りでいっぱいだ。

 

3.プロの市場を覗く

いったいこの国のお魚の流通事情はどうなっているのか。プロの方にお願いして、ロンドン最大の魚市場 Billingsgate Market(ビリングスゲート市場)へ連れて行ってもらった。

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銀行や外資系商社の集まる新しいビジネス街Canary Wharf(カナリーワーフ)のど真ん中に魚市場がある。先にこの市場が存在していて、後からビジネス街が広がったのだ。

朝3時半。寝静まるビル群に囲まれて、仲卸業者やレストラン関係者の行き交うこの一画だけが活況を呈している。

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この市場では、築地市場と違ってセリが行われていない。市場に店舗を構えるそれぞれの卸売業者が、買い付け人と相対取引を行っている。

値段や産地の明記されていない商品も多く、鮮度もまちまち。その中から刺身にできる新鮮な魚を探し出すのがプロの目利きだという。一度でも質の悪い魚を掴んでお客に提供すれば、その店の信頼問題にかかわる。常に真剣勝負の厳しい世界だ。

 

4.Llandudnoのレストラン

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ウェールズ北部のちょこっと半島の突き出た先にあるLlandudno(???)は、知る人ぞ知る海岸リゾートの町。ウェールズ語で表記されたこの町の名前は、正直まったく発音できない。

この町でも観光客が海辺に腰かけてFish & Chipsに噛り付いている。その前を素通りして、事前にネットで見つけておいたシーフードレストランへ向かった。

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入店してメニューを開くと、なぜか肉料理しか載っていない。残念な店に入ってしまったんじゃないかと後悔していると、シェフがやってきて店内の黒板を指さす。

黒板にシーフードメニューがずらりと並んでいて、私の選択は間違ってなかったと胸をなでる。魚料理をメニューに載せていない理由は、入荷できる魚の種類が日々変わるので、定番メユーを決めておくことができないからだという。

黒板に6種類の魚介類(Brill(ヒラメの一種)、Cod(タラ)、Tuna(マグロ)、Swordfish(カジキ)、Monkfish(アンコウ)、Lobster(ロブスター))がメイン料理となっている。念のためシェフにどれが地物の魚かと聞いたら、このうち3種類(ヒラメ、アンコウ、ロブスター)だけが地物だという。

ふ~。わざわざ北ウェールズまで来て、またスコットランド産を食べるところだった。

f:id:LarryTK:20180611041853j:plain f:id:LarryTK:20180611041915j:plain おいし~い

ヒラメのグリルとアンコウのリゾット。遠くまで来た甲斐がありました。

とてもいいお店なのに、看板は控えめで店内は狭い。私たちが食事している間にも、何組ものお客さんが入ってきたが、満員だと断られていた。彼らはどこかの店でFish & Chipsを食べることになるのだろう。

ひっそりと営業する予約必須の小さなお店。地物の魚はそういった店にこっそりと卸されているようだ。わかる人だけが来てくれればよい、というポリシーを感じる。

 

5.ロンドンに戻って

ロンドンでもきっと新鮮な魚が見つかるはずと、日系情報誌NewsDigestで紹介されていたHammersmith(ハマースミス)の魚やさんを覗いてみる。今回の探検は、日本人の情報網にかなり助けられている。さすが魚大国ニッポン。

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ショーケースに並べられた魚介類は、どれもこれも英国近海もの。冒頭でみたスーパーの魚コーナーとの違いが大きすぎる。こだわる人はこだわりの店へ行きなさい、というのがこの国のスタイルなのか。

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店員のお兄さんが魚や貝の獲れた地域をひとつひとつ丁寧に説明してくれる。

以前から探していたスコットランド産のlangoustine(ラングスティン:手長海老)を入手した。何尾かおまけに追加してもらって、夕食は豪華なエビ料理となった。シンプルに茹でるのがいちばん美味しい。 

 

6.ロンドンのこだわりレストラン

Soho(ソーホー)のBrewer Streetは、非常にごちゃごちゃした通りで、日本食材店やらちょっと怪しいアジアンレストランやらマッサージ屋やら新感覚のバーガー屋やら、なんでもかんでも並んでいる様相。

そんな雑多なお店に囲まれて、ハイエンドなモダンブリティッシュ料理のHIX Soho(ヒックス)が店を構えている。これまで何度も店の前を通ったはずなのに、いままでまったく気が付かなかった。 

f:id:LarryTK:20180611161517j:plain f:id:LarryTK:20180611161550j:plain 控えめに店を構える

店内は明るく、スタッフが親しげに話しかけてくる。仕事帰りのビジネスマンや、これからミュージカルを観に行くのであろう美しいドレスの女性たちがシャンパンを傾けている。片意地貼らない居心地のよさがこの店のウリのようだ。

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カジュアルな雰囲気のレストランだが、メニューには食材にこだわった料理が並び、実に充実したラインアップとなっている。

その中から今回選んだのは、コーンウォールのPortland crab(ポートランド蟹)とケント州のSt Mary's Bay hake(セントマリー湾のヘイク(タラの一種)) 。いずれも有名な地域ブランドで、日本でいえば越前ガニと関サバといった感じか。丁寧に調理されたお魚は素材のよさが活かされて上品なお味だ。

 

以上、行ったり来たりの忙しい旅に皆さんをお連れした。どの町に行っても、多くの英国人がFish & Chipsで満足していることは確かだが、探せば地物の魚に出会えるし、素敵な魚料理を紹介してくれるシェフもいる。ロンドンにもこだわりの魚介類が直送されて、「違いのわかる」お客たちにこっそりと提供されているのだ。

イギリスにはもっともっと美味しいお魚が隠されているに違いない。皆さんと探しにいってみようではありませんか。

第34回 現代に生きる王室御用達の名店コレクション(後編)

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前回より、英国王室御用達(royal warrant)のお店をご紹介しています。皆さんの身近なところで王室御用達の紋章がたくさん見つかっています。

では後半は、観光客の姿をあまり見かけないような、ちょっと風変わりなお店を探検しましょう。

 

1.H.R.Higgins

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Bond Street駅の近く、高級店の並ぶ Mayfair に、H.R.Higgins(H.R.ヒギンズ)は小さなお店を構えます。店の奥に並ぶ年季の入った缶の中に、選りすぐりのコーヒー豆と紅茶リーフが入っています。

コーヒーと紅茶、どちらも甲乙つけがたい品質の高さですが、このお店は女王陛下から「Coffee Merchants」(コーヒー商)の認証を受けているということなので、まずはコーヒーを買ってみましょう。

f:id:LarryTK:20180604170046j:plain f:id:LarryTK:20180504062435j:plain 日本人スタッフが応対してくれるときも

豆の種類を選ぶと、缶の中からザラザラと豆を取り出して、目の前で挽いてくれます。大きな天秤に分銅を乗せて豆の重さを測るところが楽しい!

挽いた粉は袋に密閉してくれるので、お土産として持ち帰り可能でしょう。それでもスーツケースに入らないよ~という方は、地下のカフェで挽き立てコーヒーを味わっていきましょう。アンティークに囲まれて、街歩きに疲れたときの立ち寄りスポットとしてもお勧めです。

f:id:LarryTK:20180604171240j:plain f:id:LarryTK:20180604170755j:plain 地下のカフェでくつろぐ

 

2.Berry Bros & Rudd

バッキンガム宮殿のすぐ近く、王室御用達の名店の立ち並ぶSt James's Street の一角に、ワイン屋さんがあります。このお店、Berry Bros & Rudd(ベリー・ブラザーズ・アンド・ラッド)こそ、300年にわたって英国王室にワインとスピリッツを卸し続けている由緒正しきワイン商なのです。

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居並ぶワインの多くはフランス産。300年も昔から、英国貴族はフランスの良質なワインを好んできました。近年では世界中でワインが作られるようになって、このお店にも各国から選ばれたワインが加わっています。

王室や貴族を相手に商売をしているお店ですが、気後れする必要はありません。私のようなワイン音痴がフラフラと入っていっても、店員のおねえさんが丁寧に対応してくれるし、ワインの値段も(高いのもあるけど)10~30ポンド程度のものが揃っています。

 

勧められるままに、ボルドーの赤ワインを購入。ラベルの両脇に、女王陛下と皇太子殿下のマークが輝きます。

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お店に入ったらぜひ見てほしいのは、"ordinary" (オーディナリー)ワインシリーズです。「普通のワイン」シリーズ??

貴族向けの高級ワインだけではなく、価格を抑えたワインも取り揃えて、市民に幅広くワインの美味しさを知ってもらおうと作ったのが オーディナリー・ワインだとのこと。私たち一般庶民へのお裾分けということですな。

f:id:LarryTK:20180504075006j:plain 「素晴らしい普通の白ワイン」という名のワイン

「普通のワイン」のコンセプトをようやく理解したところで、さらにその横に"good ordinary"とか"extra ordinary"もあります。直訳すると、「良い普通」とか「素晴らしい普通」とかになるのでしょうか。良いのか普通なのかわけがわからんけど、いずれにしても、キリリと引き締まった味に"extra ordinary"感があるとか、勝手に解釈しておきましょう。

 

3.Carluccio's

Carluccio's(カルッチオ)は、ロンドンの至るところで見かけるイタリアン料理のチェーン店です。Covent Gardenの通りを歩いていて、カルッチオの店の前でお馴染みの紋章を発見。これはチャールズ皇太子の紋章じゃないですか。

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なぜレストランチェーンが皇太子の認証を受けているのかという疑問と、そもそもレストランのようなサービス業は王室御用達の認証を受けられないはずという、二重の不思議に包まれて店内に入ってみます。

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お店の中は、いかにもカジュアルな雰囲気のイタリアンレストラン。デート中のカップルも、ビジネスマンのグループも、観光客の若い女の子も、みんな楽しそうにパスタやピザを食べております。

 

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レストランの隣に、イタリア食材を揃えるショップがありました。このショップの存在が、王室御用達の源泉であるようです。

チャールズ皇太子はこのお店を「Supplier of Itarian Food and Truffles」(イタリア食材とトリュフの提供)と認証しています。店の歴史を調べてみると、元々このお店は、カルッチオさんというイタリア人がロンドンに開けたカフェが原点となっていて、その後チェーン展開するに至ったとのこと。

チャールズ皇太子はカルッチオさんと懇意の仲で、いっしょにトリュフ探しに出かけたりもしていたらしい。だから「トリュフの提供」なんですね。皇太子が実際にこのお店に来られるのかどうかわかりませんが、店と皇太子との親密さの証としての紋章だったわけです。

 

4.Waitrose

チャールズ皇太子と食とのつながりを語るには、Waitrose(ウェイトローズ)に触れないわけにはいけません。

ウェイトローズは、このブログでも何度も取り上げたとおり、高品質でこだわりのある品揃えに定評のある高級スーパーです。中でも特に力が入っているのが、"Duchy Organic"’(ダッチーオーガニック)というチャールズ皇太子と連携して立ち上げられたブランドです。

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チャールズ皇太子は、環境保護や動物福祉への関心が大変高く、自らHighgroveという王室所有地で有機農園を経営しているほどです。その皇太子が先頭に立って、有機栽培や放牧飼育に取り組む農家とともに質の高い食品を消費者へ提供し、収益の一部をチャリティーに寄付するというコンセプトで、「ダッチーオーガニック」ブランドが大々的に展開されています。

動物福祉に対する市民の関心の高いイギリスならではの、時代を先取りした取組ではないでしょうか。王室御用達の仕組みとは異なりますが、王室と消費者とのつながりの将来の姿が垣間見えるように感じられます。

 

ところで、ウェイトローズは女王陛下と皇太子から王室御用達の認証を受けています。買物袋にもしっかりと両方の紋章が入っています。

下の写真は、バッキンガム宮殿に近いBelgraviaのお店で見つけた紋章。ウェイトローズの店舗は全国に数多くありますが、紋章を見かけたことがありません。もしかすると、ここは王室がお忍びで買い物に来られる貴重なお店なのかもしれませんね。

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5.Wilkin & Sons

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ダルメインのマーマレード祭りでお世話になったWilkin & Sons社の方から、Tiptree(チップトリー)ジャム詰め合わせのプレゼントが届きました。

チップトリーのジャムには小瓶の一つ一つに女王陛下の紋章がついていて、日本でもお馴染みですね。

ところで、チップトリーとは何のことでしょうか。気になって調べてみると、なんとジャム工場のある地名のことでした。ロンドンから車で1時間半で行けて、カフェやショップも併設されているらしい。これは行ってみるしかないでしょう。

 

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チップトリーに到着しました。

オシャレなカフェで、チップトリーの商品をふんだんに使ったサンドイッチやティーを楽しんでいます。私もティーを飲みながらくつろいでいると、目の前に"Farm Tour"(農場ツアー)のチラシが。チップトリーの所有農場を案内してくれるとのこと。行くしかありません。 

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毎週土曜限定で行われる農場ツアーは、ショップの前から出発するトラクターに乗って広い農場を巡ります。おねえさんの解説付き。

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100年以上続くチップトリーのジャムづくりは、原材料となるフルーツの栽培から始まります。農場では常に最新の栽培技術を取り入れているそうで、高く持ち上げられた畝でイチゴづくりが行われていました。

ツアーが終わってショップに戻ってきました。あの農場で作られたイチゴやブルーベリーがジャムになったのね~と思うと、そりゃ爆買いしますわな。

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最後はいつものごとく農場巡り紹介となってしまいましたが、王室御用達シリーズはこれで一区切りです。

私の任期も残りわずかとなりました。書きたいことはまだまだたくさんあるのに。猛ダッシュであと数回は書き終えたいですな。

第33回 現代に生きる王室御用達の名店コレクション(前編)

英国には「王室御用達」(Royal Warrant) 制度があります。

日本の「宮内庁御用達」は戦後に正式な制度で無くなってしまったそうですが、英国では15世紀頃から続くRoyal Warrantの伝統が、現代の合理的な認証制度に変身を遂げ、いまも800の業者が王室より紋章を授与されています。

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日本からの旅行客に人気のスイーツ店や、駐在員の通うデパートなどでも、王室御用達の紋章を見つけることができます。

この紋章が商品に付いていると、なんだかリッチな気持ちになりますね。宝探しをする気持ちで、ロンドン市内で見つけられる紋章のコレクションに出かけてみませんか。

 

How to apply

紋章探しに出かける前に、Royal Warrant についての基礎知識を少し。

現在使われている紋章は3種類。エリザベス女王、エディンバラ公(女王の旦那さん)、チャールズ皇太子(プリンス・オブ・ウェールズ)の3名に認証の権限があり、それぞれの紋章を授与しています。

1840年には王室御用達協会が設立され、業者からの申請の受理・審査などの手続きを行っています。いったん認証を受けたら一生安泰というわけではなく、5年毎に再審査され認証が更新されます。このあたりの手続きはとても合理的なのです。

王室御用達の認証を受けるのは、業者であって商品ではありません。王室が具体的にどの商品を買っているかは明らかにされていないため、商品のパッケージに女王の紋章がついていても、実際にその商品を女王が使っているとは限りません。

ただ、認証の際に「チョコレート製造」とか「紅茶商」といった業種の指定が行われるので、王室がその業者から購入する商品の種類については、だいたいの想像がつくようになっています。

前置きが長くなりました。では街へ繰り出しましょう。

 

1.Charbonnel et Walker

高級ブランド街 Bond Street に隣接して小さなお店を構える Charbonnel et Walker(シャルボネル エ ウォーカー)は、1875年から続く老舗チョコレート屋さん。エリザベス女王から「チョコレート製造」の認証を得ています。

f:id:LarryTK:20180429164022j:plain f:id:LarryTK:20180429164333j:plain 若かりしエリザベス女王の写真も

マダム・シャルボネルの秘伝のレシピを守って手作りされているというトリュフ型のチョコが有名。そして、パッケージの美しさはピカイチですね。

高級チョコなので(私には)少々お高いように思えますが、お手軽に買える3個入、4個入の小さなパッケージもあります。そういえば、日本から来てバレンタイン用に爆買いしていったおねえさまもおられました。。

f:id:LarryTK:20180429164430j:plain f:id:LarryTK:20180429164510j:plain パッケージにしっかりと紋章

 

2.Prestat

Prestat(プレスタ)もまた、1902年から続く老舗チョコレート屋さん。「チャーリーとチョコレート工場」の作者 Roald Dahl のお気に入りの店だったということでも有名です。女王よりPurveyors of Chocolates (チョコレート専門店)との認証です。

f:id:LarryTK:20180429170735j:plain がが~ん、改装中

Piccadillyに面したアーケード街に本店があったはずと訪ねて行ったところ、なんと改装休業中でがっかり。

気を取り直して。本店は後日訪問してレポートすることにして、今回はプレスタのチョコを買いにSelfrigdesまで足を延ばしました。

 

3.Selfridges

ロンドンの銀座通り Oxford Street に大店舗を構える Selfridges(セルフリッジ)は、1909年創業の高級デパート。デパートといえば Harrods(ハロッズ)が有名ですが、こちらの方が日本のデパートに通じる上品さがあって、個人的には好みです。

f:id:LarryTK:20180512061424j:plain f:id:LarryTK:20180429170922j:plain 重量感あふれる玄関

化粧品コーナーをササっとすり抜け、チョココーナーへ。ロンドン土産にチョコをという方にはお勧めの品揃えです。先ほどのシャルボネルもあるし、もちろんプレスタもたくさんの種類が取り揃えられています。

f:id:LarryTK:20180429171051j:plain f:id:LarryTK:20180429171125j:plain 充実のチョココーナー

プレスタのチョコは、棚を覗くたびに新しい商品が加わっているのが楽しいですね。

今回見つけたのは、London Gin (ロンドンジン)味。ジンは、いまロンドンで最も流行っている商品です。私も流行に乗って買ってしまいました。

f:id:LarryTK:20180429171248j:plain f:id:LarryTK:20180429171340j:plain こちらもパッケージに紋章

 

ところでここセルフリッジも、女王から認証を受けているはずなんですが、例の紋章が見つからない。店の内外もぐるぐる回ったし、オリジナル商品のパッケージも黄色い紙袋も眺め尽くしたけど、どこにも見当たりません。

セルフリッジが女王から認証を受けたのは2001年と、100年以上の歴史あるこのデパートとしては比較的最近のこと。高級デパートとしてのブランドが既に確立しているので紋章は不要なのかなと勝手に推測して いますが、ひょっとして私の見落としかも。見つけた方がいたらぜひご一報を。

 

4.Partridges

高級住宅街 Chelsea(チェルシー)の玄関口となるSloane Square に店を構えるPartridges(パートリッジ)は、正面にエリザベス女王の紋章が輝く高級食材スーパーです。

毎週土曜には店の前の広場で青空マーケットが開かれ、チェルシーの住人たちが集まります。優雅な休日ですな。

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店内にも高級食材が並びます。英国産のジャムやクッキー、フランス産のテリーヌの奥にはアメリカ産のスナックなどもあって、目移りすることこの上ない。

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オリジナルブランドの紅茶は、箱に女王の紋章が入っています。ティーバッグの一つずつにも紋章があって、毎回ロイヤルな気持ちでティータイムを楽しむことができます。

値段もお手頃で、お土産にお勧め。このお店でしか購入できないお値打ち品です。

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5.Fortnum & Mason

Fortnum & Mason(フォートナム・メイソン)は、日本人には紅茶のブランドで有名ですが、Piccadilly本店は様々な食材やワインを揃えるデパートとなっています。女王からも「食材及び必需品商」と認証されていて、この店が紅茶専門店でないことがわかります。

f:id:LarryTK:20180429164124j:plain フォートナム氏とメイソン氏の脇を通り、立派な紋章の下を潜る

 

1707年の創業以来、大英帝国の威信にかけて世界中から様々な食材を調達してきた フォートナム・メイソンの栄光の軌跡は、昨年発売された The Cook Book に詳しく紹介されています。

下の写真は、フォートナム・メイソンがはるばるインドから運んできたカレー粉と、北海で獲れるタラを組み合わせたKedgeree (ケジャリー)のレシピ。イギリスの伝統的な朝食メニューです。イギリス人も昔は美味しい料理を作っていたのね。

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f:id:LarryTK:20180508060702j:plain 見返しに紋章をみつけた

 

紅茶が山と積まれた地上階を抜けて、らせん階段を降りていくと、地下は食品コーナーになっていて、オリジナルブランドの調味料や瓶詰などが並んでいます。

上の階には、いろいろな商品を組み合わせたhamper(ピクニックバスケット)も揃っています。 ビクトリア時代の貴族文化がそのまま残っているのですね。

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お土産を買いにフォートナム・メイソンへ行ったら、地上階の紅茶だけでなく、他の階へもぜひ足を延ばしてください。おしゃれなエプロンやティーカップなど、ついつい買いたくなる商品がたくさん見つかりますよ。

 

王室御用達のお店はまだまだたくさんあって、とても1回では周りきれませんでした。次回も引き続き、コーヒー屋さんなど素敵なお店をご紹介します。

 

第32回 速報 Lambing Season(子羊の季節)到来!

 

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日本では桜が開花すると「春がきた!」と感じますよね。イギリスに春の到来を告げるのは "Lambing" なんです。

"Lambing" とは、「子羊(lamb)の出産」です。羊は秋に発情期が来るので、寒くて暗い冬を越えて、ようやく明るく暖かくなってくる3月末から4月にかけて、一斉に子羊が生まれます。

 

この季節には、農場を開放してLambingを見学できるようにする農家もたくさんあります。いってみましょう!

f:id:LarryTK:20180413062203j:plain f:id:LarryTK:20180413062253j:plain 子どもたちがいっぱい

 

イングランド南部のPortsmouth(ポーツマス)近くの農場。 

羊小屋を覗くと、生まれたばかりの子羊が、お母さんにペロペロされていました。まだ足元がおぼつかない感じ。

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下の写真は昨年の光景。初めは立てなかった赤ちゃんが、お母さんにペロペロ(licking)されているうちにあっという間に立てるようになります。

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お腹のどってりと大きくなったお母さん羊(ewe)が大量に群れています。お腹が重すぎて地面にへたり込んでおります。

羊の赤ちゃんは、通常は双子で産まれます。たまに三つ子や四つ子のこともあるとのこと。妊婦(羊)検診でソナーを当てて赤ちゃんの数を確認し、スプレーの色で区別して管理しています。 

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出産の光景をみたくて、羊小屋の前で待ってみました。体を壁にゴシゴシ擦り付けるのは出産の前兆と聞いて、しばらく粘ってみたけど、出産の瞬間には立ち会えず。残念。

 

出産の合間も農場の飼育員たちは大忙し。羊たちに消毒液を塗って、飲み水を汲んで藁を敷いて、清潔な環境を作ります。

子羊のしっぽを輪っかで縛る(tail docking)のも重要な仕事です。しっぽが長いままだと、ハエがたかったりして衛生状態が悪くなり、皮膚病になってしまうとのこと。

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先ほど出産した親子も、柵で囲まれたプライベートルーム(pen)に移動していました。ここでしばらく親子水入らずで暮らします。

 

羊小屋の中で数日過ごした後、子羊はお母さんといっしょに牧場デビューします。広々とした牧場のあちらこちらで、お母さん羊にぴったりくっついて子羊が移動している姿は、なんともかわいらしいですな。

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農場をただ開放するだけではなく、観光農園として施設を整えて、動物とのふれあいの機会などを提供しているところもあります。

ここはCotswolds(コッツウォルズ)の観光農園。大人も子どももきゃあきゃあ言いながら、子羊にミルクをやっています。

f:id:LarryTK:20180411161922j:plain f:id:LarryTK:20180411161953j:plain かわいすぎる

飼育員のおねえさんが、Lambingの仕組みを詳しく説明してくれています。英語が難しくてよく理解できなかったけど、隣にいたお子さまたちはわかったのかな??

f:id:LarryTK:20180411162035j:plain f:id:LarryTK:20180411162058j:plain やめてくれよ~て顔がおもろい

別の農場では、飼育員が子羊を抱いて子どもたちの間を廻っていました。おっかなびっくりの子どもの周りではしゃぐ大人たち。

子どもたちに紛れて手を差し出したら、指を噛まれてしまった!しかしご心配無用。まだ歯が無いので痛くありません。太い指をお母さんのおっぱいと間違えたのでしょうか。

f:id:LarryTK:20180413061233j:plain f:id:LarryTK:20180413061315j:plain 指をかみかみ

 

どの農場も、ベビーカーひいた家族連れや遠足の幼稚園児などで大そう賑わっておりました。イギリスの都会の人々には、週末に子どもを連れて郊外へ出て、自然や動物と触れ合おうという意識が強いように思います。

農場の方も、遊び場を設けたりスナックコーナーを出店したりして、子どもを飽きさせないように工夫しているようです。

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農家の方々がどのように働いているかを間近に見る貴重な機会でもあり、農業の現場と都市の住民との距離を縮めることにも役立っているようです。

ただ、ひとつ気になるのは、「子羊がかわいい!」というところばかりが強調されていること。羊はペットではありません。私たちは彼らの命を頂いて生きているという事実に気づかないふりをしているというのも、この国の特徴かもしれません。

第15回のつづき ヒースロー空港で買えるお土産(JAL編)

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イギリスの玄関口、ヒースロー空港には5つのターミナルがあって、日本との直行便を運航するJALは第3ターミナルから発着します。

先日、久しぶりに第3ターミナルを使う機会があったので、このターミナルでどんなお土産(食品)が買えるかを取材してきました。ANA(第2ターミナル)とBA(第5ターミナル)のお土産については、以下の回をご参照ください。

larrytk.hatenablog.com

なお、以下の取材内容は2018年3月時点のもの。その後の商品入替えなどのために見つからないお土産があっても、どうぞご容赦願います。

 

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第3ターミナルの出発ロビーは、第2や第5と比べるとやや小さめ。卵型の空間に、待合席を囲むようにお店が並んでいます。

端から端までお店を覗いて回っても、それほど時間はかかりません。では、サクサクっとお土産探しに行ってみましょうか。

 

1.定番のお土産

Duty Free Shopには、Fortnum & Mason (フォートナム・メイソン)やTwinings(トワイニング)など、有名メーカーの紅茶が並んでいます。品揃えもなかなかに豊富。

甘い甘いチョコレートのCadbury(キャドバリー)が特設コーナーを設けていました。「チャーリーとチョコレート工場」の舞台となったメーカーですから、お土産としての価値は高いです。甘すぎて歯茎が痛くなるチョコレートは、インパクト十分。

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定番のバラマキ土産であれば、雑貨店のWH Smithでも揃います。Walkers(ウォーカーズ)のクッキーなど、まとめて安売りしてました。

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高級デパートのHarrods(ハロッズ)も食品コーナーが充実。紅茶やクッキーは実はそれほど高くないので、高級感溢れるお土産を持ち帰りたい人にはお勧めですね。

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2.非定番のお土産

一風変わったロンドン土産を持って帰って、同僚に「お~」とか言われたい方むけに、私から何か提案できないかと探してみました。あまり広いロビーではないので、選択肢は限られる模様。さて、どんなものがありますかね。

 

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ロンドンの街中を歩き回った人なら、いちどは"Caffe Nero"(カフェネロ)にはお世話になったはず。イタリア風のカフェだけど実はイギリス発祥のお店です。(詳しくは 第10回 英国コーヒー界の新参者 "Flat White" - ロンドン食と農の便り(Monthly Report) をご覧ください。)

お店の前で、コーヒー豆を空港限定の缶付きで売っていました。自分用に買って、我が家で缶を眺めながらロンドンの街並みを懐かしむというのはいかが?

 

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お次はYo! Sushi。この店の意義については、 第5回 "Wagamama"と"Yo! Sushi"はなぜイギリス人にウケるのか - ロンドン食と農の便り(Monthly Report) 参照。自分で言うのもなんだけど、いろんな特集を手掛けてきたものですわ。

カウンターに並んでいたのは、小さな袋に入ったアラレやおかき。どこの国の原産かもわからないし、食欲をそそるわけでもないけど、面白いのはパッケージ。「酸味」、「苦味」とか「甘み」とか、好き放題に書いてあって、実際のところ、どの味やねん!と突っ込まざるを得ないですわ。ハリーポッターの百味ビーンズのようなスリルを味わえる??お土産です。

 

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待合スペースのど真ん中にあったパディントン・ベアのお店。熊のパディントン君がロンドンを大冒険するお話なので、ロンドン土産としては最適。 パディントン君の大好物のマーマレードがあればバッチリだったんですが、それほど気の利いたものはなくて、キャンディのようなものが並んでいました。それでも、かわいらしい瓶に入っていて、お土産としての価値はありそうです。

空港内のお店は回転早く替わってしまうので、いつまであるかわかりませんが、もし見つけたらぜひ覗いてみてください。