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ロンドン食と農の便り(Monthly Report)

ロンドンの食とイギリスの農業について毎月レポートを書きます。

第20回 "Free From"食品はどこへ向かっているのか?

イギリスはベジタリアンの多い国だ。動物の殺生を避けるために、肉や魚を食べず、植物性の食品だけで生活していこうとする人たちだ。

ロンドンのレストランには必ずベジタリアンメニューが用意されているし、スーパーにはベジタリアンコーナーがある。ある統計では、英国人の2%、100万人以上がベジタリアンだとされている。

話は変わるが、スーパーでグルテンフリーの食材を見かけたことがあるだろうか。小麦アレルギーやグルテン不耐性の人々向けの食品だ。イギリスでは新商品が次々と開発され、これらの体質をもつ方々でも豊かな食生活が送れるようになっている。

この一見何のつながりもないようにみえる二つの食生活が、いまイギリスで緩やかに結びつきつつある。今回は、そんな時代の最先端をいく英国食事情を追う。

 

1.自然食品展示会にて

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"Natural & Organic Products Europe" という英国最大の自然食品展示会には、キヌアフレークやらトーフバーガーやら、世の中の自然食品が一同に会するのでとても楽しみにしている。

昨年の流行は抹茶とココナッツだったが、さて今年の目玉は何だろうか?

f:id:LarryTK:20170427092959j:plain どっかーん

今年の会場では、奥の方の4分の1ほどのスペースを"Vegan World"(ビーガン・ワールド)が陣取って、華々しく新商品を展開していた。

Vegetarian(ベジタリアン)が肉や魚を食べないことは先ほど説明したとおりだが、Vegan (ビーガン)は、肉・魚だけでなく、乳製品や卵など一切の動物性食品を食べず、厳格に植物性食品だけを食べて生きていこうとする人たちのことをいう。

かなり特殊な食生活を送るビーガンだが、英国には50万人以上いて、年々増加しているという。ビーガンたちに向けた商品がこんなに多様に展開しているとは!と面食らいつつ、Vegan Worldに足を踏み入れていく。

 

なんじゃこりゃ。

「ラクトースフリー、グルテンフリー、パームオイルフリー」「ノー大豆、ノー精製糖」・・・。

もはや動物性食材に留まらず、ありとあらゆる物質がビーガン食品から追放されている。まるで、フリーの数が多ければ多いほど良いという風潮。

f:id:LarryTK:20170427093016j:plain f:id:LarryTK:20170427093026j:plain 無い無いづくし。

「〇〇フリー」を謳う商品を、欧米ではまとめて"Free From"(フリーフロム)商品と呼ぶ。

グルテンフリーやラクトースフリーといったフリーフロム商品は、もともとは小麦アレルギーや乳糖不耐症の人たちのための食材のはず。なぜビーガン向けにFree From商品が並んでいるのか?ビーガンが小麦を食べて何が悪いのか??

頭からハテナマークがいくつも飛び出しそうになったので、とりあえず目の前の試飲ミルクを一口。

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ううっ。よくみると、亜麻仁(flax)ミルクと書いてある。ミルクフリー、ラクトースフリー、グルテンフリー、大豆フリーらしい。頭も舌も混乱に陥ったまま、逃げるように会場から退散。

 

 2.健康なライフスタイルを求めて

いまやビーガン市場は、動物性食品を追放するだけでなく、あらゆる形態のFree From商品を取り込んでいる。グルテンフリーやラクトースフリーの食品が、アレルギーや不耐症と関係のない人々に購入されているということだ。

この現象をいったいどう理解すればよいのか?

ある調査によると、英国民の3分の1が Free From商品を半年間に1度以上購入しているという。そのうちの4分の1は、アレルギーのためというよりも「健康なライフスタイルを送るため」にFree From商品を購入したと答えている。

www.mintel.com

 この「健康なライフスタイル」という、わかったようで意味の分からん言葉がキーワードのようだ。その実態を追っていくうちに、耳慣れない言葉に辿り着いた。

"Clean Eating"(クリーン・イーティング

「クリーンな食生活」とでも訳せばいいのだろうか。加工食品を避け、果物や野菜を自分で調理して、健康な食生活を送る。日本でいう「ロハス」に近いかもしれない。

www.bbc.co.uk

 

いまイギリスで、クリーン・イーティングが大いに流行っている。

多くのセレブを虜にするクリーン・イーティング推進の立役者となっているのが、その名の通りのClean Eating Aliceさん。適切な食事と運動の組み合わせで、随分と痩せて美しくなったという。インスタグラムを多用して健康メニューの写真を投稿し、ブームに火をつけた。www.thesun.co.uk

 

彼女のやっていることは至極全うだ。果物や野菜を使った簡単な料理のレシピを公開し、美味しく食事しようと呼び掛ける、極めてシンプルな主張だ。

しかし、"Clean"という言葉を裏返すと、"Dirty"という概念が見えてくる。

クリーン・イーティングが勢いを増すのに合わせて、ダーティな食材を追放しようという動きが出てきた。肉、魚、乳製品、グルテン、ラクトース、精製糖、パームオイル、GMO、MSG、、。これらすべてをひっくるめて"ダーティ"の烙印を押し、市場から排除しようとしている。

クリーン・イーティングブームに乗じたダーティ追放運動。私が自然食品展示会で見たFree Fromの新商品の数々は、こんな動きに乗じた商売魂の現れといったところのようだ。 

 

3.スーパーマーケット探索

さて、フリーフロム商品は、英国の食品市場にどれだけ浸透しているのか。 実態を確かめにスーパーマーケットへ行ってみた。

ここは、ロンドン郊外の高速道路沿いにあるWaitroseの大規模店舗。品質重視の高級スーパーだ。

f:id:LarryTK:20170427093146j:plain でかっ。 

f:id:LarryTK:20170427093201j:plain f:id:LarryTK:20170427093219j:plain 店内もひ~ろびろ。

フリーフロム商品はどこに売ってるかなー。と探す間もなく、Free Fromコーナーを発見。

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それでは、ここで問題。このお店に、Free From商品はどれくらい置かれているでしょうか?

f:id:LarryTK:20170427093256j:plain ヒントはこの写真。

答え。上の写真に写っている商品、ぜんぶ。これがFree Fromコーナーの全容で、棚の中の商品すべてが「フリーフロム」なのだ。

グルテンフリー商品が棚の8割を占めていて、残りが乳製品フリーとこれらの組み合わせとなっているようだ。怪しい原材料のシリアルに乳製品を使わないチョコ、グルテンフリーの醤油まである。

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私が棚のチェックをしている間にも、お客さんがひっきりなしにFree From商品を買っていく。年齢層は様々。それぞれのライフスタイルに合わせた商品を選んでいるようだ。 

 

4.恒例の実食タイム

ここまできたら、やはり、Free From商品を自分で食べてみないわけにはいかない。ということで、これならたぶん食べられそう。。という商品をいくつか買って帰ってきた。

 

① Walkersのショートブレッド

"イギリスのお菓子といえばWalkers"と言っていいほど有名なショートブレッドにも、グルテンフリーバージョンがあった。普通の商品とグルテンフリー版を両方買って、食べ比べてみる。

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f:id:LarryTK:20170430065149j:plain グルテンフリー版には日本語表示が無い。日本へは輸出されていないようだ。

むむっ。グルテンフリーも意外とうまいぞ。サクサクしていて、いつものより食べやすいかも。と思いながら原材料をみて、納得。

原材料表記のトップに"rice"の文字が。これ、米粉クッキーじゃん!そりゃうまいわ。

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②グルテンフリーのパスタ

Free Fromコーナーに大量に並んでいたグルテンフリーのパスタも購入。少し透き通った感じの麺が特徴だ。

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 このパスタの正体は、トウモロコシ粉。茹でると汁が粉っぽくなるが、麺の茹で具合に違和感はない。

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茹で上がった麺をそのまま一口食べてみるが、特に味がしない。そもそもふつうのパスタも大して味はしないから、比べようがない。

ミートソースをかけちゃったら余計にわからんね。ふつうに美味しくいただきました。

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③ グルテンフリー✖ミルクフリーの食パン

Free Fromコーナーには、たくさんの種類の食パンが並んでいた。そのうち量がいちばん少なそうな商品を購入。グルテンフリー、小麦フリー、ミルクフリー、飽和脂肪酸低めとある。ヒマワリやら何やらの種を混ぜて、より健康食品的に仕上げてある。

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一口かじってみたら、なんだか弾力に欠ける。つなぎだけを選り分けて食べているみたい。原材料は、、タピオカスターチか。さもありなん。

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しかし、全体としてはよくできていると思う。バターを塗りまくって食べれば、もう違いなんかわからんね。

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以上、刺激的な食後感想文を待っていた方には期待外れだったかもしれない。業界誌に「Free From商品は美味しくなければ売れない」と書いてあった。美味しいかどうかは微妙だが、少なくともふつうに食べられるレベル。多くの食品メーカーが注目するFree From市場も、かなりの激戦区となっているようだ。 

 

この記事を書いている間にも、クリーン・イーティングを巡る賛否両論や、グルテンフリーの食生活はかえって健康を害するといったニュースなど、多くの話題を目にした。Free From市場の急速な拡大とこれを取り巻く様々な議論から、当面は目が離せないようだ。

 

第19回 湖水地方のマーマレード祭り

ロンドンから電車で北へ3時間、無数の湖と大自然で有名な湖水地方は誰もが知る大観光地であるが、その北の端、Ullswater(アルズ湖)を囲むあたりは、まだまだ未開の自然に囲まれた神秘的な空間が残っている。

f:id:LarryTK:20170402145120j:plain 自然に囲まれたUllswater

地域の起点となるPenrith(ペンリス)駅から車で10分ほどのところに、Dalemain(ダルメイン)と呼ばれる土地がある。古い屋敷と美しい庭園をもつダルメインでは、年に一度、マーマレード祭りが開かれている。今年も3月に開催されたマーマレード祭りにお招きいただいたので、ここでご報告をさせていただく。

 

1.ダルメインの歴史

f:id:LarryTK:20170329120102p:plain ©Hermione McCosh photography

ダルメインとは、ヘイゼル家が17世紀以来代々受け継いできた屋敷と庭と広大な領地のことをいい、現在は12代目となるジェーンさんがその歴史と伝統を守り続けている。

ジェーンさんは長年かけて庭の改良に取り組み、2013年にHistoric Houses Association によってBest Garden of the Year(2013年最高庭園)に選ばれた。その美しさは、NHKが昨年夏に放映した「魔法の庭 ダルメイン」によって日本にも広く知れるところとなっている。

www.nhk.or.jp

 

ジェーンさんの努力は庭園だけに留まらなかった。ダルメインの屋敷に代々伝わるマーマレードの秘伝のレシピを発見したことをきっかけに、2005年にマーマレード祭りが始まった。

World Original Marmalade Awards & Festival(世界初・マーマレード大賞祭り)と名付けられたこのお祭りも、初年度は50ほどしか出品者が集まらなかったというが、今では3,000以上の応募が寄せられる。英国内だけでなく、オーストラリアや米国、シンガポールなどからも応募があり、最近は日本からの応募が大変増えているという。

 f:id:LarryTK:20170404161353p:plain f:id:LarryTK:20170402145548j:plain ジェーンさんのマーマレード

 

2.マーマレード表彰式

世界中から出品されたマーマレードは、Artisan Awards(職人の部)とHomemade Awards(手作りの部)の二つのカテゴリーにわけて審査が行われる。審査員が3,000以上のマーマレードを実際に試食するというから大変だ。味だけでなく色や食感なども細かく審査され、それぞれに点数がつけられる。

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Artisan Gold Winners(職人の部金賞)は、プロフェッショナルにマーマレード作りを手掛ける人々の中から選ばれる。

選ばれたマーマレードは受賞シールを貼って売ることができるので、販売促進にも大きく貢献する。ジャムメーカーのMackaysや食品メーカーFortnum & Masonがスポンサーにつくなど、業界の注目度の高さもわかる。 

f:id:LarryTK:20170404162034p:plain 今年の金賞受賞者たち

 「職人の部」の表彰式はダルメイン屋敷内で行われ、50組余りの職人が金賞を受賞した。

日本各地のジャム工房などで活躍する方々も、ユズや日本酒をうまく取り入れたマーマレードの新製品を投入し、10組ほどが堂々と金賞を受賞していった。日本から遥々来られた着物姿のご婦人方が表彰式に参加されると、豊かな国際色がさらに彩りを増す。

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f:id:LarryTK:20170408152640p:plain ゲストとして招かれた鶴岡在英大使より表彰状を授与

 

Homemade Winners(手作りの部)には、世界各地のマーマレードファンたちから自慢のマーマレードが送られてくる。

日本からも数多くの応募があったという。瀬戸内海の小さな島からも、地域おこし協力隊と地元グループが丹精込めて作ったマーマレードが、おばあちゃんたちの写真を添えて国際郵便で送られてきたというエピソードも教えてもらった。

f:id:LarryTK:20170329120131p:plain ©Hermione McCosh photography

2,000を超える応募作は10余りのテーマに分けて審査される。「セビルオレンジの部」や「アイデア(twist)の部」もあれば、「子供の部」「男子の部」「お年寄りの部」などもあって、すべての作品に平等にチャンスが与えられているようだ。

朝、屋敷の前庭に出てみると、地元の人たちが大勢集まってきていた。地元小学生がかわいらしい歌をうたったあと、テーマごとの表彰式が行われた。こちらも国際色豊かで、アメリカやオーストラリアからも受賞者が駆け付けていた。

f:id:LarryTK:20170402145057j:plain 「マーマレードすきすき~」

マーマレードフェスティバルへの参加費用は、すべて地元の非営利団体に寄付され、ホスピスの運営費に充てられるとのことで、このイベントが地域コミュニティに暖かく迎えられている秘訣となっているようであった。

「子供の部」は地元の幼稚園が受賞した。小さなこどもたちが先生に引率されて前に出てきたとき、表彰式を見守る人たちの拍手は最高潮に達した。

 

3.地元の人たちと 

午後から屋敷は一般の人たちに開放される。駐車場にはみるみるうちに車が押し寄せ、満杯になった。マーマレード作りのデモンストレーションが行われ、受賞したマーマレードが飛ぶように売れる。お祭りの雰囲気が高まってきた。

f:id:LarryTK:20170329120218p:plain 

 

表彰式の後、ペンリスの町に戻ってきた。町の中心では、マーマレード祭りとの同時開催で ‘Go Orange’ キャンペーンが展開され、屋台でマーマレード関連商品が販売されたり、店のショーウィンドーがオレンジで装飾されたりして盛り上がっていた。

マーマレード祭りに合わせてペンリスでキャンペーンが開催されるのは2年目で、昨年よりも規模が大きくなったとのこと。祭りの主催者とペンリスの行政や商工会との連携がうまく機能しているようであった。

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4.ロンドンにて 

受賞した商品がFortnum & Mason(フォートナム・メイソン)で販売されていると聞いて、ロンドンに戻ってからピカデリィの本店を覗いてみた。

f:id:LarryTK:20170408070119j:plain 毎時、フォートナムさんとメイソンさんの人形が出てくる

 

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あった。あった。金賞受賞作がきれいに並べられ、華やかな店内にさらに彩りを添えている。日本から遥々やってきたユズ&ライムも並んでいる。透き通った黄色味とライム皮の緑が新鮮だ。

f:id:LarryTK:20170408070029j:plain 小ぶりの瓶が日本っぽい。

日本のマーマレードがさらに飛躍することを祈念して、一瓶買って帰ってきた。おいしくいただきます

第18回 個性あふれる英国の競馬場

競馬発祥の地イギリスには、たくさんの競馬場があります。ひとつひとつの競馬場は、規模もそれほど大きくないし、日本の競馬場のような立派な設備も整っていませんが、それぞれに特徴があって、多くの人に愛され続けています。

ロンドン近郊にもたくさんの競馬場があって、これまたすごく個性的なんですよ。

 

1.Royal Windsor 競馬場

エリザベス女王の居城Windsor城の近くには、Royal Ascotで有名なAscot競馬場がありますが、もうひとつ、'Royal'の冠の付いた小さな競馬場があるのです。

Royal Windsor(ロイヤル・ウィンザー)競馬場の発祥は150年前とのこと。歴代国王の住んでいた地だけに、王様や貴族たちが持ち馬を競い合わせていた時代から徐々に現代競馬が形作られてきた歴史を感じることができます。

 

競馬場への行き方がまたユニークなんです。車やバスでも行けますが、断然のおススメはこれ!

ボートに揺られて競馬場へ。

ウィンザー駅の近くにテムズ川が流れていて、そこから競馬場行きのボートが出ているのです。競馬場に着く前から、もうワクワク感満載!

f:id:LarryTK:20170213161942j:plain  f:id:LarryTK:20170213162017j:plain このボートに乗って行くのね!

ボートに揺られること約15分。船着き場の目の前は、もう競馬場の入り口です。

f:id:LarryTK:20170214170202j:plain いざ、場内へ。

 

ここで、Royal Windsor競馬場のコースを解説しましょう。

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なんだこの8の字コースは!?

日本ではゼッタイにお目にかかれないですよね。どうやって走るのかと混乱しそうですが、よく見れば非常に効率的な造りです。ゴールポストの裏側からスタートして、いったん直線走路を横切り、ぐるっと回ってまた直線に戻ってきます。

コースの交差するところで馬が衝突しないかって?馬は一団に固まって走るので、まあ、あり得ないでしょう。複雑な形をしているけど、事実上、コーナーの急な左回りコースと考えていいのではないでしょうか。それにしても、誰がこんな形を考案したのでしょうかね。

 

さて、場内を周ってみましょう。スタンドは小さいけれど、レースが始まる度に観客が集まってきて、結構な盛り上がりです。

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f:id:LarryTK:20170213162128j:plain  パドックでは手を伸ばせば触れる距離に馬が。

 

レースの合間には、仲間同士集まって、お酒を飲んだりご飯を食べたり。競馬場は大きなパーティー会場でもあります。Royal Ascotほど格式は高くなくても、みんなきれいなドレスを着て、優雅に楽しんでいます。これがイギリス競馬の姿ですね。

f:id:LarryTK:20170213162159j:plain  f:id:LarryTK:20170213162224j:plain 我々も英国名物Pimm'sで乾杯。

結局、戦績はどうだったかな。途中からお酒を飲んでたことしか覚えていませんわ。。

 

2.Epsom Downs競馬場

ロンドンから南へ電車で1時間くらいのところに、Epsom Downs(エプソム・ダウンズ)競馬場があります。ここも、こじんまりとした田舎の競馬場という感じです。

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この競馬場のコースの特徴は、なんといってもこれ。

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一周できない。

ずっと奥の方から走ってきて、ゴール板を通過したら行き止まり。内馬場はなんだか用途のわからない草原になっていて、真ん中を一般道が突き抜けていきます。

f:id:LarryTK:20170213162424j:plain f:id:LarryTK:20170213162336j:plain ゴール板の先にあるパブからは、入場料を払わずに競馬観戦できるらしい。

 

さらに、直線走路が内側に向けて斜めに傾いています。こんなところ走ったら、馬がみんな斜行するじゃないか!

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そして、この競馬場のいちばんの驚きは、こんないびつなコースで、競馬界最大のイベント、ダービーが200年以上開催されているという事実です。

f:id:LarryTK:20170213162316j:plain 2016年ダービー優勝馬の騎手の服

競馬の原点がみえるような気がします。だだっ広い原っぱで、貴族が自慢の馬を走らせてどっちが速いかを競わせたのが競馬の始まり。コースがぐにゃぐにゃ曲がってたり傾いてたりしていて当たり前なんですね。そんなワイルドなコースで勝ち残った馬にこそ、最強馬の栄冠が与えられるのです。

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将来の伝説の名馬をめざして、Epsom Downsでは今日も熱い戦いが繰り広げられています。 

 

3.Cheltenham競馬場

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イングランドの西部、ロンドンから電車で2時間ほどのところに位置するCheltenham(チェルトナム)競馬場は、コッツウォルズの丘のふもとに広がる世にも美しい競馬場です。

海外競馬のバイブル「グローバルレーシング」(アラン・シューバック著)には、「世界にチェルトナム競馬場より美しい競馬場があるとすれば、人はまだ目にしていない」という、最大限にまわりくどい褒め言葉が書き連ねられています。

f:id:LarryTK:20170213161858j:plain 丘と一体となったコース

この競馬場のコースは、ぐるぐると何周もできるように複雑に作られているのが特徴。その理由は、この競馬場が距離の長い障害レースをメインとしているからなんです。

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障害レース!

日本では、土曜の昼休みにこっそりとやってるような印象ですが、イギリスではとても人気が高いんです。夏は平地、冬は障害と、きっちりと住み分けができているのもこの国の特徴ですね。

 

障害レースにもいろいろ種類があって、hurdleレースでは、馬がぶつかるとヘニャと曲がってしまうような低い障害を飛びます。陸上のハードル競走を見ているようで、迫力があって面白いです。

f:id:LarryTK:20170219072357p:plain 資料画像

生垣や小川を飛び越えながら、広大な丘を馬たちが駆け回っていた時代の名残が、Cheltenham競馬場のコースにはまだまだ残っているようです。

 

4.Kempton Park競馬場

ロンドンから電車で西へ40分。Kempton Park(ケンプトン・パーク)競馬場は、ロンドン中心部にいちばん近い競馬場です。先の「グローバルレーシング」は、この競馬場がある町を「典型的なイギリスの村で、アガサ・クリスティ作品の推理小説でミス・マーブルがテーブルの下に死体を発見するかもしれないような村である」と褒めたたえています。

そしてこの競馬場では、ナイター競馬が開催されているのです。

よし。仕事帰りにGo!

f:id:LarryTK:20170301150227j:plain 急げ急げ

 

だんだん日が暮れてきて、暗闇に煌々とライトが映える頃、ようやくレースが始まります。

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この競馬場のもう一つの特徴は、オールウェザーコースがあることです。

なにそれ?

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 日本の競馬場には、芝とダートの2種類のコースがあります。人工素材を馬場全体に敷き詰めたオールウェザーは、見た目はダートのようですが、ダートとは別の第3のカテゴリー。雨が降っても水たまりができないとか、クッション性がよくて馬が故障しにくいなど多くの利点が言われる一方で、新しい製品なのでいろいろ難点が挙げられたり、こんなの本来の競馬じゃないと言われたり、議論百出のコースなんです。

  

ナイター競馬をみていると、いつもにも増して胸が高まってくるのは私だけでしょうか。途中から雨が降り出しましたが、白熱のレースにはまったく影響なし!なんといってもここはオールウェザーですからね。

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f:id:LarryTK:20170301150456j:plain f:id:LarryTK:20170301150439j:plain パドックも怪しく光る

このKempton Park競馬場が閉鎖されるというニュースが飛び込んできました。残念ですが、まだ何年も先のことらしい。それまでに美しいナイター競馬を十分に楽しんでおきましょう。

 

5.付け足し

最後に私信を一言。たくさんの競馬場をご案内いただいたF所長、ありがとうございました。これからも英国競馬場の探検を続けていきます。東京に戻られてもお元気で! 

 

 

 

第17回 日本人の行かない日本食レストラン

ロンドンには日本食レストランがたくさんある。正統派の京都懐石からなんちゃって寿司ロールまで、種類も様々。新橋の居酒屋みたいなところもあって、私たち日本人に寛ぎの空間を提供してくれているのだが、果たしてイギリスの人たちにはどんなお店がウケているのか。

今回は、地元の人たちに人気で、いつもお客さんがいっぱい入っているんだけど、ついぞ日本人の姿を見かけたことがない、というお店をいくつかご紹介したい。

 

1.Sexy Fish

Berkeley Square House,Berkeley Square. London W1J 6BR

Sexy Fish | Asian Seafood Restaurant Mayfair London

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高級レストランの集まるメイフェア(Mayfair)地区のど真ん中、バークリー広場(Berkeley Square)に面した通りに、2年前、忽然と姿を現した。

事務所の近くなので、店の前を通るたびにとても気になっていたのだが、窓にはスモークが貼られていて、中の様子をうかがい知ることができない。店の看板にカタカナで「セクシーフィッシュ」と書いてあったり、メニューにSushiとかRobataとかあるところから、いちおう日本をイメージしたレストランなのだろうと推測する。

店の中をみてみたい。行ってみよう!

こういった高級店は、ランチでも予約は必須。ネットで予約して、その日を待つ。

 

 当日。予約時間どおりに店に入る。

うぉー。ぴかぴかだー。

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大きな絵の描かれた天井、フカフカのソファー、壁には豪華な装飾品。時間がゆったりと流れる別世界に迷い込んだようだ。

店名どおりのセクシーな女性が私たちを席まで案内してくれる。ソファーへ落ち着いた瞬間に、イケメンサーバーがメニューと水を持ってくる。

これが、高級店のサービスというものか。。

ため息をつきながら、メニューを眺める。時間の感覚とともに、金銭感覚もマヒしてきたようだ。メニューの数字が気にならなくなってくる。

 

料理を頼もう。周りのお客さんがどんな料理を食べているか、他のテーブルをチェックしてみる。

食べてない。。

みんな、ワイングラスをもっておしゃべりに熱中している。テーブルの真ん中に寿司ロールが何切れか残っている。

そう、ここは社交の場だ。ご飯をガツガツ食べるところじゃない。私たちも、控えめに注文することにしよう。ということで、以下、料理の一部をご紹介。

f:id:LarryTK:20170114223853j:plain Sexy Fish Roll。£14(2,000円)。ご飯が入ってない。

 f:id:LarryTK:20170114223930j:plain ホタテの炉端焼き。これで£30(4,000円)は随分強気。

 f:id:LarryTK:20170114224002j:plain 常陸野ネストビールがあってビックリ。

f:id:LarryTK:20170114223947j:plain デザートは前衛的な抹茶アイス。

 

てなわけで、ちょこちょこと料理つまみながらお酒飲んでぺちゃくちゃしゃべっていたら、あっという間に2時間くらい経ってました。その間も、イケメンが何度もやってきて、皿を取り替えたりお酒を注いだり。そういえば、「ちょっと、すみませーん」と店員を呼び止めることは一度もなかったかも。

サービスにお金を払う。そんな高級店には、繊細な日本料理が合うのかもしれない。

 

2.Chotto Matte

11 - 13 Frith St, Soho, London W1D 4RB

Home - Chotto Matte | Nikkei cuisine | London

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ロンドンで最も賑やかな地区、ソーホーは、各国の料理店にパブやバー、なんだかわからん怪しい店がごちゃごちゃっと並んでいて、昼も夜も若者がワイワイやっている街。このレストランバーも、店の外にまでお客さんが溢れている。

ん?チョットマッテ?一寸待てよ。もしかして、これ、日本語か?(混乱)

 

いったん家に戻って店のHPを確認。"Nikkei Cuisine"て「日系」てこと?日本-ペルーの融合とか書いてある。どんな料理だ?(再び混乱)

これは行ってみるしかない。

 

改めてお店へ。大人気の店らしく、予約がとれたのが8:45pm。既に街は混沌としている。

店の中に入るやいなや、縦ノリの音楽と立ち飲み客の喧噪に包まれた。予約してあると伝えると、上の階へ。

かっこいい。薄暗い店内でテーブルの上のローソクがゆらめく。壁には青っぽい絵が浮かび上がっている。

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周囲を見渡してみる。若者のグループやカップルたち、ビジネスマンに親族の寄り合いみたい人たちまで、いろいろ。これからクラブへ向かうであろう黒いドレスの女性たちもウロウロしている。

みんな、大いに飲み食いしているようだ。次々と酒と料理がテーブルに運ばれていく。Sohoのパワーの源を感じる。

よし、我々も負けずに注文しよう。天ぷら、餃子、寿司ロールあたりがNikkei料理のようだ、ペルー料理からポテトやししとう焼きなど。ペルー風のバーベキューを頼もうとしたら、「それはお勧めしない」とウェイトレスに断られてしまった。そんなフランクさもこの店の人気の秘訣なのか??

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f:id:LarryTK:20170114224822j:plain 寿司ロールを目の前で炙る。炎が飛び散って結構危ない。

f:id:LarryTK:20170114224916j:plain 冷やしたスパークリング日本酒をわざわざ徳利に移し替えてくれる。突っ込みどころが多すぎて、かえって黙って盃を傾けることに。

f:id:LarryTK:20170114224859j:plain めっちゃ立派なデザート盛り合わせ

 

いろいろ不思議なこともあったが、料理は意外とうまいし、値段もそれほど高くない。何より、店にいるだけで楽しい気分になってくる。十分に満足して下の階に降りると、縦ノリがますます激しくなっていた。Sohoの危なっかしい夜はまだまだ続くようだ。

こうやってみんなで楽しく食べられるのも、日本食の魅力なのだ。

 

他にもご紹介したいお店はいっぱいあるけれど、とりあえず今回はここまで。どちらの店も満員だったが、日本人客は私たちだけだった。日本人の知らない人気の日本食レストラン。私たちの周りのお客さんたちが、日本料理を食べる目的でこの店に来ているわけではないことは、なんとなく察しが付く。

ゆったりと時間を過ごしたい。仲間と楽しくワイワイやりたい。そんな期待をもってお客さんはお店を選ぶ。そして、そのお客さんの期待に応える料理が、どちらも日本食だったとしたら、それは十分に誇らしいことではなかろうか。

第16回 急成長中!イングリッシュワイン

イギリス産のワイン?こんな寒い国でまさかという皆さんにお伝えしたい。イギリスでもワインを作ってます。しかも、この数年間に急成長を遂げているというから、驚き!

 

1.イングリッシュワインを飲もう!

ロンドン中心部のデパート、M&Sの食品コーナーでイングリッシュワインを売っているという噂を聞いて、現場を尋ねてみました。

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おおー。ありましたわ。スパークリングワインが4種類、白ワインが11種類。赤ワインが2種類。こんなに簡単に手に入るとは!

 

見つけたからには、買わないという選択肢も無い。スパークリングと赤白を1本ずつ抱えて帰ってきました。

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それでは、試飲。う~ん、うまい!

どんな味かって?ワインの味をうまくお伝えできる自信も無いので、ここはプロの方の表現をお借りして、

『トーストしたカラメル・ブリオッシュの香りに、リンゴ・ナシ・アプリコットやキャンディ・アーモンドがほのかに感じられ、すっきりとした辛口の酸味とキャンディ・ブリオッシュの後味が残る。』Glass of Bubbly

まあ、だいたいそんな感じかな。ブリオッシュがなんなのかよくわかんないけど。

 

2.Chapel Down

イングリッシュワインの代表格としてあげられるのが、Chapel Downという銘柄。

今年、Downing 10(首相官邸)の公式サプライヤーになったというニュースが話題になりました。首相官邸では、フランス産のシャンパンを止めて英国産のスパークリングワインを使うようになったとのこと。 

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では早速試飲。ふむふむ、キリッとした酸味が舌を刺激する。食前酒には最適かな。(語彙が貧祖ですみません。)

M&Sを覗いたとき、日本産の甲州ワインが1種類だけ置いてあるのを発見したので、ついでに買ってきました。北半球の島国からやってきたワインということで、共通するものがあるかも、と思って飲み比べてみたところ・・・

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ほ~。こんなにも違うのか。

さらりとした甲州ワインと、後味しっかりのイングリッシュワイン。甲州ワインを飲んでいると、なぜか日本酒のイメージが浮かんできます。イングリッシュワインには、フランスのシャンパンの風味がしっかりと引き継がれている。これがアジアとヨーロッパの文化の成り立ちの違いなのでしょう。

 

3.イングリッシュワインの産地

イングリッシュワインはどこで作られているのか?

ガイドマップの地図をご覧ください。(見にくければ、リンクを開いてみてね。) 

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mapはこちら 

 ロンドンの南東、KentやSussexといわれるイギリスで最南端に位置する地域に、ワイナリーが集中しているのがわかります。ドーバー海峡を隔てた向こう側はもうフランス。かの有名なシャンパーニュ地方とは、直線距離で200kmくらいしか離れていません。

気候が冷涼なためにブドウが育たなかったイギリスですが、このあたりの土質はシャンパーニュ地方とだいたい同じだそうで、地球温暖化の影響で平均気温が上がってくると、ワイン作りに最も適した地域に生まれ変わりつつあるといわれています。逆に、シャンパーニュ地方では夏の日照りが強すぎて、いいワインを作るのが難しくなっているとか。

 

4.ワイナリーへ行ってみよう!

なんと、ロンドンの近くで作っているんじゃないか。行くしかない!

ロンドンから車を飛ばして約2時間。Tenterdenという蒸気機関車の走るかわいらしい街の外れに、Capel Downのワイナリーがありました。 

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ワインの並ぶショップには後で入ることにして、まずは2階のレストランで腹ごしらえ。

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オープンキッチンのオシャレな店内。席が空くまで、スパークリングワインを片手にバーで優雅にくつろぎます。

食事も本格的でした(写真撮るの忘れた)。大満足。さて、お腹いっぱいになったら、ショップの裏のブドウ畑を散歩してみましょう。

f:id:LarryTK:20161212033832j:plain ブドウ畑はこちら⇒ 

 

美しい。。

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イギリスの土地で、ブドウはたしかに育っていました。なだらかな傾斜地に太陽が燦々と降り注いでいます。林に囲まれた畑には、ブドウの木がずらり。

ちょうど秋の収穫が終わったあとのブドウ畑には、熟れたブドウの実があちらこちらに摘み残されています。区画ごとにわざわざ違った種類のブドウを栽培して、お客さんがぜんぶ見られるように配置されていました。

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左が(たぶん)Bacchus、右は(きっと)Chardonnay

f:id:LarryTK:20161212034040j:plain f:id:LarryTK:20161212034012j:plain ブドウ畑はまだまだ続きます。

f:id:LarryTK:20161212034105j:plain これは(おそらく)Pinot Noir

 

ブドウ畑をぐるりと周ってショップに戻ってくると、1本ずつのボトルごとに違いが見えてくるような気がしてきます。ロンドンではお目にかかれない商品もたくさん。あれも買いたい、これも買いたい。。

f:id:LarryTK:20161211083115j:plain f:id:LarryTK:20161212034132j:plain 工場は激しく稼働中。

迷った末に、いちばん変わり種のNectarを買って帰ってきました。ボトルが細い。

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名前のとおり、甘~いデザートワインでした。イギリスではこんなワインまで作れるのね。イングリッシュワインの奥深さを堪能したところで、今回のレポートはここまで。

第15回 ヒースロー空港で買えるお土産

イギリスへ旅行に来て、あれやこれやとお土産を買いに走り回ったつもりが、帰国直前になって、

あ~あれも買っとけばよかった~。もう一回お店に行こうかな。でも時間がもったいない。きっと空港にもあるはず。でも、もし空港に無かったらどうしよう。

なんてグダグダ迷うこと、ありそうですよね。ここでいちばん問題なのは、空港まで来てしまったら、お目当ての物が無くても、もう引き返せないこと。

そこで今回は、皆さんよりも一足先にヒースロー空港へ乗り込んで、どんなお土産を売っているのか調査してきました。

今回調査したのは、東京行きのANAが発着する第2ターミナルと、British Airwaysが発着する第5ターミナル。JALの発着する第3ターミナルは最近使っていないので、こんど行く機会があったときに調査して追記します。

なお、当然ながら、お店の商品は頻繁に入れ替わるので、いつも同じ物が置いてあるとは限りません。あくまで2016年10月現在の調査結果です。

 

1.第2ターミナル(ANA)

イギリスの空港では、セキュリティゲートの手前にほとんど店が無いので、乗客はチェックインを済ませるとすぐにセキュリティゲートを通過して中に入ります。一方で、飛行機の搭乗ゲートは直前まで知らされないので、それまでの間、ぶらぶらお店を覗いたり、パブでビールを飲んだりして時間をつぶします。だから必然的に出発ロビーのお店が充実しています。

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第2ターミナルは、セキュリティゲートを通過すると2階部分に出る構造になっていて、ゲートのある1階に降りたところが出発ロビー。このあたりにお店が集まっています。さて、調査開始しますか。

 

日用雑貨を扱うWHSmith。上の階にも店舗がありますが、下に降りると大きなお店がデンと構えてて、品ぞろえも豊富です。

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お馴染みWalkers(ウォーカーズ)のショートブレッドが山積み。Twinings(トゥワイニングス)の紅茶なども何種類か置いてあります。

 

 定番のDuty Free Shopへ。こちらも両方の階にあるけど、下の階のお店の方が大きい。

f:id:LarryTK:20161111164533j:plain f:id:LarryTK:20161111164918j:plain もちろんウィスキーは充実。

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こちらにもWalkersがどっさりと置いてある。英国最大のお菓子ブランドCadbury(キャドベリー)もあります。イギリスの子供たちはみんなCadburyのDairy Milkを食べて育つのだとか。

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イギリスの二大紅茶ブランド、Fortnum & mason(フォートナム・アンド・メイソン)とTwiiningsもいろいろ揃っています。

 

ロンドンの老舗デパート、Harrods(ハロッズ)も店を出しています。

f:id:LarryTK:20161111165313j:plain Harrods熊がお出迎え

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紅茶やチョコレートなど、Harrodsブランドがズラリ。本店で買いそびれた商品があっても、ここで買い足しできそうですね。

 

と、構内を一回りしたところで、目ぼしいブランドはだいたい手に入ることがわかったんだけど、この程度なのかな~。う~ん、なんか物足りない。と思って、もう一回りしてみることに。

 

ロンドンのOxford Streetに本店がある高級デパートのJohn Lewis(ジョンルイス)がお店を出していました。店頭にクリスマス仕様のかわいいチョコやクッキーが並んでいるではありませんか。

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これはもしやと思って店内へ。あるある!!

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おしゃれなデザインで日本人に大人気のチョコレート店、Charbonnel et Walker(シャルボネル・エト・ウォーカー)が棚いっぱいに。さらに、最近イギリス人の間で話題のHotel Chocolat(ホテルショコラ)のコーナーも。バッキンガム宮殿のギフトショップなどで売っているRoyal Collection(ロイヤルコレクション)の紅茶もある。

すごくレベルが高いぞ!!

 

まだ見落としているお土産があるのではないかと、構内をさらに一回り。

ここは、ファーストフード店のEAT.

サンドイッチの横にMarmite(マーマイト)が置いてある!「イギリスの納豆」との異名をもつこの不思議な商品を一瓶持って帰れば、帰国報告会でも盛り上がること間違いなし。

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飛行機を待つイギリス人がたむろするパブの片隅に、化粧箱に入ったビール瓶を発見。London Pride(ロンドンプライド)は、ヒースロー空港近くの工場で製造されるロンドン市民に最も愛されているビールです。エールビールの独特の味が忘れられない方にぴったり。

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と、第2ターミナルをぐるりと探検してみました。

それほど大きくない出発ロビーだけど、よーく店内を眺めてみると珍しいお土産がいろいろ見つかりました。皆さんもちょっと変わったお土産を探してみてはいかが?

 

2.第5ターミナル(BA)

ヒースロー空港の第5ターミナルは、英国最大の航空会社British Airwaysの発着のハブとなっているので、他のターミナルよりかなり規模が大きくなっています。ちなみに、イギリスでは国際線に乗るときも出国審査が無いので、第5ターミナルからは国内線も国際線もごっちゃに飛び立っていきます。

というわけで、気合を入れてめっちゃ広い出発ロビーを調査開始。

 

Harrodsの店舗も第2ターミナルよりずっと広い。食品もかなりの種類を揃えているようです。こんなに揃っているのなら、いつも激混みの本店にわざわざ行く必要ないんじゃないかな。

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おー。Harrodsの店の中にEast India Company(イースト・インディア・カンパニー)のコーナーがある。日本ではあまり知られていないけど、イギリスの高級紅茶メーカーです。

f:id:LarryTK:20161113013231j:plain  f:id:LarryTK:20161115171607j:plain こちらがEast India Companyのロンドン本店

 

下の階の奥の方に、Fortnum & Masonの店を発見。とても高級感あふれる店内。本店よりも立派なつくりで、ちょっと入りにくい?

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f:id:LarryTK:20161113013250j:plain ハリポタショップがオープンするのか。百味ビーンズとか買えるようになるのかな。

 

WHSmithも大きな店構え。クリスマス仕様のWalkersが並んでいました。Catwright & Butler(キャットライト&バトラー)のショートブレッドもおしゃれなパッケージで旅行客に人気。

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f:id:LarryTK:20161113013551j:plain Tobleroneの三角の箱が山積み。これはスイスのチョコ。

 

 「イギリスに行ってきました」的なお土産ショップもありました。定番のショートブレッドや紅茶がいろいろ。

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さて、Duty Free Shopもさぞ充実してるだろうと店内を覗くと、あれ?ウィスキーしかない。

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これはおかしいと構内をウロウロしたところ、ありました!

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Duty Free Shopがもう一つありました。しかもこっちは食品専門店。Cadbury、Walkers、Twinings、Thorntonsといった有名ブランドのコーナーまで設けられていて、品揃えも充実。さすがBritish Airwaysのお膝元。お土産品もBritish Foodで固められておりました。

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ところで、CadburyのDairy Milkを眺めていたとき、ふと気になって袋をひっくり返してみました。棚の上半分に並んでいたオリジナルのDairy Milkは、もちろん"Made in UK"。ところが、下半分のDairy Milk Caramelの裏面をみてびっくり。"Made in France"じゃないか!え~。「ロンドンの味」みたいなこと書いてあるのにフランス製なのか~。

イギリスは(まだ)EUの一部なので、EU域内の商品の移動は自由。どの国で作ってどの国で売ってもいいわけなんだけど、なんかね~。

ヨーロッパ人はこだわらないのかな。でも、我々はこだわるよね。重い荷物背負って日本へ持って帰った後にガクッとならないよう、念のため裏面を見てから買いましょう。

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ということで、 空港のお土産売り場を駆け足で見てきました。老舗の銘柄から最近話題のブランドまで、バラエティ豊かな陳列棚をみていると、商品の由緒とか歴史とか、もっと知りたくなってきました。こんどは、ロンドンにある老舗の本店めぐりでもやってみますね。

 

 

 

第14回 緑茶とグリーンティのあいだ

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紅茶の国イギリスで、緑茶が流行っている。健康にいい"Super Food"などともてはやされている。TESCOの大規模郊外店では、お茶コーナーが棚5段分に広がっているが、そのうちの1段を緑茶が占拠していた。

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そんなに緑茶が人気なのか。日本の誇るお茶の文化がイギリスにも受け入れられつつあるのだな。と思いながら、製品をひとつ手にとった。

TwiningsのGreen Tea Lemon & Ginger。日本ではお目にかからない風味だ。

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裏面を見る。”Zhejiang (浙江省)、Jiangxi (江西省) 、Anhui (安徽省)で摘んだ茶葉を使っています”と書いてある。中国茶だ。

試しに一箱購入して淹れてみた。オレンジの水色と、強烈なレモンの香り。日本の誇る緑茶文化はいずこへ??

 

いや、ちょっと待て。

イギリスの緑茶ブームは、果たして日本が発信源なのか?頭の中に疑問符が沸いてきた。

いったいいつから、イギリスは緑茶を知っているのだろうか。「英国は紅茶の国、日本は緑茶の国、中国は烏龍茶の国」という常識は世界共通なのか。ほんとうに昔から常識だったのか。

私は、イギリスと緑茶の出会いを遡る旅に出ることにした。

 

1.Twinings

手始めに、手に取ったこの緑茶の起源を探してみる。Twinings本店は、ロンドンの二大中心地、WestminsterとCityを結ぶStrand通りの真ん中にある。

f:id:LarryTK:20161006083509j:plain さて、Twiningsの店はどれでしょう?⇒⇒

⇒⇒正解はこちら。f:id:LarryTK:20161006083530j:plain

Twiningsの創業は1706年。裁判所の正面に位置するこの地に、当時から店を構えていたという。300年以上、同じ場所でお茶を売り続けてきたわけだ。

f:id:LarryTK:20161006082755j:plain Twiningsの創始者、Thomas Twiningさん。

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店の中は異様に狭い。両手を伸ばすと左右の壁に届くくらい。壁沿いに製品が陳列されていて、店の奥は試飲コーナーと古い広告や文献を並べたミニ博物館になっている。

この店でも、予想外に緑茶が多い。全体の4分の1くらいを占めている。入り口脇にも緑茶が並ぶ。最近の流行に乗って緑茶を置き始めたようには思えない。もしや、昔から売られていたのではなかろうか?

 

2.お茶の歴史 

Twiningsが設立された1706年には、イギリスでどんな風にお茶が飲まれていたのか?

角山栄著「茶の世界史」(中公新書)は、1980年に刊行された古い書籍だが、いまだ多くの示唆に富んでいる。この本を頼りに、イギリスにおけるお茶の歴史を遡っていくことにしたい。

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お茶を飲む習慣がイギリスに伝わったのは17世紀。東インド会社がアジアから胡椒などを運んでいた時代だ。世界史の教科書を思い出してみよう。

1657年には、ロンドンのコーヒーハウスでお茶の販売が始まったとある。「英国は紅茶の国」というイメージがもう崩れた。コーヒーとお茶は、ほぼ同時代にイギリスに伝わって、同じように飲まれていたのだ。

さらに衝撃が続く。本書の記述を引用する。

「18世紀はじめには輸入茶の約55%が緑茶で、紅茶は約45%であったのが、その後紅茶の輸入がいちじるしい増加を示し、・・・緑茶と紅茶の地位が逆転してしまうのである。」

なんと!イギリスも昔は緑茶の国だったのだ。イギリス人は、300年も前から緑茶を知っていた。その大半が中国からの輸入だったという事実も看過しがたい。

この時代への想いを馳せるために、場所をすこし移動する。

 

3.V&A ミュージアム

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歴史を勉強したいと思ったら、貴重な資料がすぐに見つかるのがイギリスの凄いところだ。Victoria & Albert Museumには、古い調度品や生活用品が時代の流れに沿って陳列されている。しかも、タダだ!

 

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お目当てのものがさっそく見つかった。

17世紀当時、イギリスでは陶磁器を作る技術がまだ発達していなかったので、アジアから大量の皿やカップを輸入していた。上のカップは、17世紀後半に中国から輸入されたもの。当時の英国の貴族たちは、中国から輸入したカップで、中国から取り寄せた緑茶を飲んでいたのだ。

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中国製ばかりではない。上のポットとカップは有田焼だ。当時、日本はオランダとしか貿易をしていなかったから、オランダを経由してイギリスに運ばれてきたのだろう。

 f:id:LarryTK:20161006083319j:plain 上のカップに取っ手が無いことにお気づきだろうか。当時、お茶は湯呑を啜るように飲まれていた。この絵のカップにも取っ手が無い。

イギリスで飲まれるお茶が、いかにアジアと深く結びついてきたかがわかってきた。その奥に、緑茶文化を発展させていた日本とのつながりも見え隠れする。

 

別の機会にOxfordで訪れたAshmolean Museumにも、アジアから運ばれてきたカップが展示されていた。

f:id:LarryTK:20161030034853j:plain ここもやっぱりタダだ。

左の写真のカップとソーサーは中国製、その隣の大きなカップは英国製。形から図柄まで、中国製に似せて作られている。右の写真のソーサーは中国製だが、御揃いの図柄のカップがイギリスで作られた。

f:id:LarryTK:20161030034922j:plain  f:id:LarryTK:20161030034945j:plain このカップも取っ手がない。

17~18世紀のイギリス人にとって、アジアは神秘的で興味の尽きない文化に溢れていたようだ。

エキゾチックな風味のする緑茶を楽しんでいたイギリス人が、だんだん紅茶を好むようになり、いつしかそれがイギリス特有の文化となった。そしていまや、Wedgwoodのカップで紅茶を飲むイギリスの生活に、我々が憧れを抱いている。なんだか不思議な構図だ。

 

4.英国のグリーンティ

ロンドンのV&Aミュージアムに戻ろう。館内を歩き回って疲れてきたので、V&A ミュージアム内のカフェで休憩。ここもまたオシャレな内装で観光客に人気のスポットだ。

お茶の勉強に来た記念にお茶を一杯、とメニューを見上げて、あっ!と声をあげた。

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メニューをじっと見つめる。お茶が3種類に分類されているのがわかる。Black teaとGreen teaとInfusion。Green teaのメニューには、オリエンタル煎茶とジャスミン茶。

 

私はようやく理解した。「グリーンティ=緑茶」と決めつけていた自分が間違っていた。

グリーンティとは、お茶のカテゴリーの名称だ。ワインがレッドとホワイトに分けられるように、ティはブラックとグリーンとインフュージョンに分類される。

緑茶は、水色が濃い緑で、茶葉の香りが立って、喉の奥に少し渋みが残らなければならない、というのは、我々の考える「緑茶」の定義だ。ブラックティが黒色でないように、「グリーンティ」はオレンジ色でもよいし、レモンで香りづけしてもよいし、はちみつの甘味が加わってもよい。「グリーンティ」の定義は、「緑茶」よりもはるかに広い。

 

5.イギリスのお茶の歴史(ふりかえり)

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再び先の本を読み返しつつ、イギリスのお茶の歴史をざっくりと整理してみる。 

昔、イギリスには茶葉がなかった。しかし英国人は、ラズベリーやカモミールを煎じたハーブティを飲んでいた。こちらで「インフュージョン」と呼ばれるこれらの飲み物は、茶葉を使わないから本来は「ティ」ではない。そして、こういったインフュージョンを楽しむ英国人の習慣が、その後アジアから伝わる茶の受け入れを容易ならしめていた。

17世紀になってアジア、特に中国から茶葉と陶磁器が大量に輸入されるようになり、お茶はコーヒーとともに大ブームとなった。初めにロンドンで話題となったのは緑茶であり、その後、インドでのお茶の生産なども始まって、紅茶がイギリス中に広く浸透するようになった。

 

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もういちどTESCOの棚をみてほしい。5段あるお茶コーナーは、左から3段がブラックティ、次の1段がグリーンティ、右側の1段がインフュージョンとなっている。イギリス人は、たしかにブラックティがとても大好きだが、グリーンティもインフュージョンも大好きだ。300年の間、こうやっていろいろな種類のお茶を分け隔てなく楽しんできたのだ。

 

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とあるホテルでのアフタヌーンティのメニュー。アールグレーやアッサム茶に混じって、煎茶やインフュージョンが載っている。「アフタヌーンティは紅茶で!」という既成概念を作っているのは我々の方だ。煎茶を楽しみながらスコーンを食べるのだって、立派なアフタヌーンティなのだ。

 

6.グリーンティの中の日本

翻って、緑茶ブームに沸くイギリスで、日本の緑茶はどのようにみられているのか。

我々の定義する「緑茶」は、グリーンティの一種ではあるけれど、イコールではない。グリーンティが売れているからといって、緑茶が受け入れられているとは限らない。

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ロンドンで開催された健康食品の見本市。

世界中から自慢の健康食品が集まる中、あちらこちらのブースで抹茶が展示されているのが目についた。イギリス人のお姉さんがシャカシャカと点ててくれる。

グリーンティの人気が高まる中で、特に抹茶への注目度は高い。抹茶は、あのお点前とセットになったところで、ようやく日本のイメージと結びつくらしい。自然豊かな日本のポスターなども貼られていた。

様々なグリーンティの溢れるイギリスにあって、日本産品を際立たせるには、なんといっても抹茶を主軸に売り込んでいくしかないのではないか。そんなことを考えさせられた一日であった。

ただし、見本市に展示された抹茶の原産地を聞いて回ったら、中国、韓国、台湾との答えが返ってきた。日本のお茶を売り込むのは、かくも難しい。