ロンドン食と農の便り(Monthly Report)

ロンドンの食とイギリスの農業について毎月レポートを書きます。

第29回 おいしいFish & Chipsを求めて

イギリスといえばFish & Chips!

日本からお客さんが到着したら、まずはパブへお連れして、ぬるいエールビールとFish & Chipsをお楽しみいただくのが定番のコース。

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ついこの前も食べてきたところなのだが、初めて本場のFish & Chipsを食べた皆さんに共通の感想。

魚がでかい。

意外とおいしい。これなら全部食べられるかも。

⇒ ぱくぱくぱく ⇒ やっぱり全部はムリ。

おいしかった。でももう食べなくてもいい。

 

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私自身の初Fish & Chipsは、3年前の夏。着任直後に勇気を振り絞ってパブに入り、注文したのをよく覚えている。そのときの感想を見返してみると、

残りの3年間はもう食べなくていいかな。

とFacebookに書き残してあった。

 

いやいや、そういうわけにもいかない。この3年間、なんだかんだで30回以上食べたでしょう。

そんなにたくさん食べたのなら、いったいどの店のFish & Chipsがいちばん美味しかったのか?と聞きたくなるよね。それが今回のテーマです。

 

1.Fish & Chips専門店

おいしいFih & Chipsを食べたければ、パブじゃなくて専門店に行かなくちゃ。

とはよく聞く話。

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ここはロンドンでたぶん最も有名なGolden HindというFish & Chips専門店。ランチタイムには、地元の人たちや観光客、ビジネスマンで超満員になる。

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100年の伝統を受け継いだという手作りの衣で揚げた白身魚は、ほどよいサクサク感とジューシーさが際立つ。LargeかSmallを選択できるのがありがたい。チップスも小ぶりだし、Smallだとムリなく食べきれて、程よい満腹感が味わえる。

 

Fish & Chipsに使う魚は、基本はcod(タラ)。イギリス近海でたくさん獲れたのでイギリス人のお馴染みになったということだが、最近は資源量が落ちているので実はそうでもない。

本格的なシーフードレストランへ行くと、cod以外にもいくつか選択肢がある。

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ノッティング・ヒルのオシャレな街にあるオシャレなレストランGeales。codのほかに、haddock(これも日本語に訳すとタラ?)、skate(かすべ??)、plaice(カレイ)、hake(タラに似ているがタラではない???)が選べる。

いずれも淡白な白身魚で大きなフィレがとれるところが共通していて、揚げるとどれも似たような形になる。

f:id:LarryTK:20180129091659j:plain haddock。codより味が濃くて好き嫌いが分かれる

f:id:LarryTK:20180129091736j:plain skate。ジューシーで食べやすい

f:id:LarryTK:20180129091827j:plain plaice。カレイの姿揚げを思い出させる味

勢いよく食べ始めたけれど、半分食べたところで手が止まった。衣がサクサクなのは嬉しいのだが、ちょっと油を使いすぎじゃないか?皿に敷かれた紙がボトボトに濡れている。

とても全部は食べきれないと思ったら、衣を剥がして残すとか、少し工夫した方がいいかも。もったいない神様には後で謝ろう。

 

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Sea Shellもとても有名なFish & Chips専門店。こちらではメニューに「groundnut oil(ピーナッツ油)で揚げています」と誇らしげに書かれていて、たしかに軽い仕上がりとなっている。

この店には、Take Away(持ち帰り)コーナーとレストランが併設されている。もともとは持ち帰り店としてスタートし、最近になってレストランを増設したそうだ。

そう。Fish & Chipsは本来、持ち帰り用のファストフードなのだ。

f:id:LarryTK:20180124084307j:plain f:id:LarryTK:20180124084344j:plain フィンガーサイズで食べやすいFish Box。codであることとチップスの量が多いことに違いはない。

 

2.持ち帰り用Fish & Chips

持ち帰り店といえば、バラマーケットに行列のできていた'proper'(正統派)Fish & Chips店を思い出す。衣に香ばしい下味がついていて、ポーションも小さめだったので美味しく食べられた。larrytk.hatenablog.co

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昨年夏にバラマーケットを訪れたときの写真を見返してみると、`National Fish & Chips Award`(全国Fish & Chips大賞)に優勝したとの垂れ幕が下がっていることに気づく。

これだ!

このAwardの受賞店を探していけば、おいしいFish & Chipsに辿り着くはず。と思って検索をはじめたら、なんと私の家のすぐ近くに''Top 10 best newcomer'(新規開店ベスト10)の店があるではないか。

 

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私の家から車で5分のStones Fish & Chipsは、店内にテーブルの無い持ち帰り専門店。アツアツのFish & Chipsを家に持って帰ってきて、テレビでも見ながらフォークでグジャグジャと突いてだらしなく食べるのが、この料理の本当の食べ方だと聞く。

 f:id:LarryTK:20180124084859j:plain 塩ドバドバドバ

f:id:LarryTK:20180124084935j:plain モルトビネガーじゃぶじゃぶじゃぶ

Fish & Chipsとは、そもそもファストフードのスナックのようなもの。上品で美味しい料理を探していたこと自体、間違っていたのかもしれない。好きなだけ塩とモルトビネガーをぶっかけて、家の中でいかにも不健康に食べるのがいちばん美味しい食べ方かも。

f:id:LarryTK:20180124085027j:plain チップスもしょっぱくてうまい

 

3.新世界のFish & Chips

「おいしいFish & Chipsは家の中にある」という、なんだか逆説的な結論に至ったわけだが、それでは物足りないという人々がいる。

ロンドンにはミシュランの星を獲得した日本食レストランが二軒ある。その一つがUMU(ウム)という京懐石料理店だ。

f:id:LarryTK:20180130172642j:plain 狭い路地の奥にひっそりと佇む

UMUの石井総料理長は、"Fish & Chips革命"というスローガンを引っ提げてNYからロンドンへ乗り込んできた。

その本来の意義は、イギリスでの鮮魚の流通形態を変えてやろうという活動にあるのだが、店で出てくる「魚と芋」は、それだけで十分に革命的だ。スナックとしてのFish & Chipsの姿が、見事に日本流に表現されている。

f:id:LarryTK:20180130172532j:plain f:id:LarryTK:20180124165704j:plain もちろんめちゃくちゃ美味しい

 

もう一つ挙げておこう。Street XOというナイトクラブのような怪しいアジアン料理店。店内は若者たちが大いに盛り上がっている。

f:id:LarryTK:20180124165435j:plain f:id:LarryTK:20180124165514j:plain すべてが怪しい

メニューのいちばん上に「ハマチ・カルパッチョ "Fish & Chips"」とあったので注文してみたら、出てきたのがこれ。

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白い紙の上にハマチが並んで出てきた。これのどこがFish & Chipsなのかと、店員に聞かずにはいられない。

"よく見てよ。サツマイモの角切りとポテトチップが乗っかってるでしょ。これをハマチでくるむと、ほら’Fish & Chips`のできあがり!"

 そこまでしてFish & Chipsにこだわる必要があるのか?と疑問は残るが、きっとイギリスの人たちは、魚と芋の組み合わせに何かしらの安心感を覚えるのだろう。

 

いろいろなお店を廻ってみたことで、Fish & Chipsはスナックだという事実を再認識することになった。石井シェフの創作「魚と芋」の姿がそのことを端的に表している。どの店がいちばんおいしいか?などとあまり肩に力を入れないで、しょっぱくて油っこいFish & Chipsをつまみながら、おいしいビールと楽しいおしゃべりの時間を過ごすのがいちばんじゃないか、というのが今回の結論。

さて、そろそろまた日本からお客さんが到着する時間だ。お馴染みのパブへ行って、エールビールとFish & Chipsで乾杯してこよう。

第28回 チーズから学ぶ英国の地理

チーズの本場といえばフランスやスイスを思い浮かべるかもしれないが、チーズへの思い入れの強さではイギリスも負けてはいない。なぜなら、この国でもチーズ作りは地元の伝統に密着しながら営まれているからだ。

英国産チーズの由来を知ることは、イギリスの地理と歴史を学ぶことにほかならない。

 

1.Stilton Cheese

ロンドンの中心を貫くピカデリー通り(Piccadilly)から1本ずれたジャーミン通り(Jermyn Street)は、細い道ながら由緒ある老舗のひしめく商店街となっている。

そのうちのひとつ、パクストン・アンド・ウィットフィールド(Paxton & Whitfield)は、200年以上も昔からチーズを取り扱う専門店だ。店内にはヨーロッパ各地から取り寄せられたチーズがこぼれんばかりに並ぶ。

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f:id:LarryTK:20171218081701j:plain 王室御用達の紋章。左がチャールズ皇太子、右がエリザベス女王。この紋章についても後で特集を組みますよ

 

さて、今回の訪問の目的は、スティルトンチーズ(stilton cheese)を見つけること。イギリスの誇る地域名産品の代表選手だ。

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店内を見渡すと、黒い瓶の並ぶ棚を早速発見。これがスティルトンチーズだ。EU認証マークがキラリと光っている。

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スティルトンチーズはなぜ瓶に入れて売られているのか。瓶を開けるとすぐに答えがわかる。固まったヨーグルトのように青かびチーズが詰め込まれている。まとまって取り出すこともできず、スプーンでほじくり出すしかない。

f:id:LarryTK:20171217100947j:plain f:id:LarryTK:20171217101023j:plain ボロボロで食べにくいことこの上ない

どうしてスティルトンチーズはボロボロなのか。その答えを探るところから、今回の旅は始まる。

 

「スティルトン」でググってみると、ロンドンから北へ2時間、高速道路M1沿いにStiltonという町が見つかる。

f:id:LarryTK:20171218174048p:plain Stiltonは昔はロンドンとエジンバラを結ぶ街道の宿場町だった

お~、これがスティルトンチーズ発祥の地か!と思ったみなさん。甘いよ。

確かにここはスティルトンチーズが「初めて売られた町」であるが、スティルトンチーズを作っているとは言っていない。実はその生産地はStiltonから北西へさらに1時間ほど進んだレスター(Leicester)に存在する。

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どういうことか。レスター州は牧場の多い地域で、新鮮な牛乳が手に入る。ここでチーズを作って宿場町だったStiltonへ運び、スティルトンチーズと名付けて旅行客に売っていたというわけだ。

時代を下って、レスター州で作られたチーズが「スティルトン」と呼ばれるようになり、そのままロンドンへ届けられるようになった。そしていまや、EU認証制度により、レスター州周辺で作られたチーズしか「スティルトン」と名付けることができない。

山梨で「箱根まんじゅう」を作って箱根へ運んでいたら、いつの間にか山梨でしか「箱根まんじゅう」を作ってはいけないことになった、という感じ。

 

2.工場へ

うんちくの塊のようなスティルトンチーズ。その秘密をもっと知りたくなって、つてを辿って工場見学させてもらうことになった。

レスターから北へ20分、Long Clawsonという田舎町へ。スティルトンチーズを生産する7つの工場の中で、最大の生産量を誇る。

f:id:LarryTK:20171203083013j:plain f:id:LarryTK:20171203083242j:plain 地元の牛乳を使うのも特徴のひとつ

工場内は撮影禁止のため、皆さんにお見せできないのが残念だが、意外と近代的でびっくりした。伝統的な製法を守りながら、できる限りの機械化を進めているとの説明を受ける。

スティルトンチーズの最大の特徴は、「プレスしない」ことだ。圧縮せずに何度もひっくり返すことで水分を抜き、円柱形に仕上げる。

そういえば、先ほどのお店にも、奥の冷蔵庫に円柱のチーズが保管されていた。あれがスティルトンチーズの元の姿だ。

f:id:LarryTK:20171217050457j:plain f:id:LarryTK:20171220172239j:plain やたらと嵩張るチーズだ

プレスせずに毎日ひっくり返して脆いチーズを作る。そんな面倒な製法を300年も守り続けてきた、いかにもイギリスらしいスティルトンチーズであった。

 

3.Red Leicester

レスターっ子には、岡崎選手のいるサッカーチーム、眞子様が通っておられたレスター大学のほかに、もうひとつ自慢があるという。それが、レッドレスター(Red Leicester)と呼ばれるチーズだ。ついでに、レッドレスターの地元も覗いてみよう。

 

レスターから西へ30分。Uptonというとっても小さな村に到着。ここにチーズショップがあるはずなのだが、何度村を行き来しても見当たらない。と思ったら、脇道に小さな看板を発見。 'Sparkenhoe Farm'と書いてある。もしかしてこれか??

f:id:LarryTK:20171221094453j:plain 看板がぽつねんと

砂利道を恐る恐る進んでいくと、レンガ造りの小屋を発見。中を覗くと、なんと、チーズが山のように積まれているではないか。

f:id:LarryTK:20171203062525j:plain f:id:LarryTK:20171203061919j:plain もっとお客にアピールしてよ!

チーズショップにはかわいらしいカフェも併設されている。黒板に書いてあったチーズトースティ(cheese toastie)を注文してみた。

f:id:LarryTK:20171203062349j:plain f:id:LarryTK:20171203062438j:plain とてもオシャレ

お姉さんがパンにチーズを挟んで焼き始めた。お馴染みのオレンジ色のチーズだったので、「これはチェダーですか?」と尋ねてみたら、「いやいや、この農場の牛乳で作ってますから、レッドレスターなんです」とのお答え。何か聞いてはいけない質問だったような気がする。

以前、あるレセプションで「シャンパンですか?」と聞いて「いえ、イングリッシュスパークリングです」と言われ、恥をかいたことを思い出す。仏シャンパーニュ地方で生産されたスパークリングワインしかシャンパンと呼ばないのと同じく、オレンジ色の固いチーズはどれもチェダーだと思っていた自分は間違っていたようだ。

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それではと、レッドレスターの山からひとかけらを購入。レッドレスターは、熟成が進むほど濃厚な味が際立ってくるとのこと。塩気が強く、サクサクと食べられる。赤ワインの最高のお供だ。

 

4.Chedder

ロンドンに戻ってからも、先ほどのチェダーを巡る会話が心に引っかかる。ハロッズの裏手にあるチーズショップ、ファイン・チーズ・カンパニー(The Fine Cheese Co.)へ本物のチェダーチーズ(Chedder Cheese)を探しにやってきた。

 

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英国産チーズの収集に力を入れるこのお店の棚には、イギリス各地のこだわりチーズが勢ぞろいしている。

その真ん中にあるのがチェダーだ。このチーズはもともとイングランド南西部のサマセット州チェダー村で作られたのが始まりとのこと。現在は世界各地で製造されているが、こだわりのチェダーは今でもサマセット州で作られている。

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チェダーの本来の色はクリーム色。お馴染みのオレンジ色は着色してできるものだったのね。日本で見る四角いチェダーとは大違いで、まるでパルメザンのように硬い。職人が丹精込めて作ったチェダーは、味も硬さも格別なのであった。

 

このお店には小さなカフェがあった。すこし休憩して行こう。 

f:id:LarryTK:20171204053812j:plain  f:id:LarryTK:20171204053537j:plain ワイン無しには食べられない

チーズプレートを注文したら、3種類のイギリス産チーズが運ばれてきた。いちばん右はオールドウィンチェスター(Old Winchester)。ロンドンの南西、海にほど近いウィンチェスターの町で、とびっきり硬いチーズづくりに励んでいるとのことだ。

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さすが牛と羊の国イギリス。各地でこだわりのチーズが生み出され、地域の誇りとしてその製法が受け継がれている。

最初のお店に戻って、壁に貼ってあったチーズマップを購入した。これまでに見てきたチーズのほかにも、チェシャー(Cheshire)やグロスター(Gloucester)など、各地のチーズが紹介されている。

私がイギリスにいる間にあといくつのチーズに出会えるだろうか。イギリスの魅力は、語っても語っても尽きることがない。

 

第27回 10ポンドでランチのできる日本食レストラン

ロンドンの外食は高い。ランチでも、料理と飲み物にサービス料を加えて18ポンド(2700円)くらいが相場だ。事務所近くに10ポンドの定食があって重宝していたが、最近12ポンドに値上がりしてショックを受けた。

ロンドンでは10ポンド出してもご飯が食べられないのか。。

絶望の中、ロンドンの雑踏を彷徨っていたら、そこには予想外に素敵なお店との出会いが隠されていた。

 

1.太郎(Soho)

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ロンドンで最もごちゃごちゃした街ソーホーの一角に「太郎」の看板を発見。微妙な似顔絵が目に焼き付いて離れない。どんな店なのか、恐る恐る覗いてみる。

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店内は大賑わい。家族連れに友達同士、ビジネスマン風の人もいる。人種も多様だ。みんな楽しそうに食事していて、するするっと店内へ引き込まれていく。

ところで、例の似顔絵はなんだったんだろうと思ったら、、、

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目の前に、「太郎」さん。

名前を確認したわけではないが、彼が太郎さんでなければ、果たして誰が太郎さんであろうか。

 

テーブルは満席のため、カウンターに通される。 席の向こう側はキッチンとなっている。オープンキッチンというよりは、客席と厨房を隔てる壁を作り忘れたかのように、雑然とした厨房が丸見えとなっている。

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メニューを拝見。鶏照焼丼7.90ポンド、スパイシーソースをかけても

8.90ポンドだから、10ポンド以下に収まる。今日のランチはこれにしよう。

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目の前の厨房にはスタッフが6人ぐらいいて、焼きそばにカレー、餃子やラーメン、注文を次々と捌いていく。あ、チキンをザクザクと切っている。これは俺の注文だな。

5分も経たずに鶏照焼丼が目の前に。チキンが山盛り。2ポンド足すとさらにチキン倍増らしいが、そんなにたくさん食べられないわ。社員食堂のようなボリューム感だ。

 

ところで、「太郎」さんと俺。店員にもお客さんにも日本人が見当たらない中で、お互いにかなり気になっていた模様。食事のあとになんとなく会話が始まった。

太「どこにお住まいですか」

俺「ロンドンに2年いるんですけどね。この店は初めてですわ。ボリューム満点で美味しかったですよ。」

太「うちもね、そんなに恥ずかしいもの出してるつもりはないんだけどね。」

なんとまあ日本人的な謙遜と自信。いろんな人種に囲まれて、太郎さんも頑張ってるんだな。 

 

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スパイシー鶏照焼丼8.90ポンドにサービス料10%の80ペンス。10ポンドで30ペンスのお釣りが戻ってきた。

太郎さんとお友達になると、こっそり味噌汁を持ってきてくれたりして、ちょっと得した気分。また行きますよ。

 

2.東京ダイナー(Leicester Square)

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昼も夜も人通りの絶えない中華街の東端に日本食レストランがあると聞いて、行ってみた。

「東京ダイナー」というちょっとカッコいい名前だが、店内は早稲田の定食屋のようで、いつでも気軽に立ち寄れる雰囲気だ。

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お客さんも学生さんかと思われる若者が多い。早稲田と違っているのは、俺以外は全員イギリス人だという事実。

 

ランチメニューを見てみよう。茄子の揚げびたしセットが£8.50。惹かれますな。

隣のテーブルで、ビジネスマン風のイギリス人がメニューも見ずに「ナスノアゲビタシ、プリーズ」と 注文している。常連さんなんやね。俺もそれください。

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料理を待っている間にお茶とお茶うけが出てきた。こんなの頼んでないよと思ったら、どのテーブルにも運ばれていて、店からのサービスのようだ。他の店だったらこれだけで£3とられるわ。なんてお客にやさしい店だ。

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ナスノアゲビタシ定食登場。酢の物もついてきて、懐かしい日本の味が楽しめました。

 

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この店のユニークなのは、店内のいろんなところに「チップはいただきません!」という張り紙がしてあること。メニューにも「No Tip!」と明記されている。日本のスタイルでやっているので、チップは受け取らない主義だということだ。なにもそこまで頑なに拒否しなくても、、と思って、お店のお姉さんに聞いてみた。

俺「なんでチップを受け取らないんですか」

姉「料金の中にサービスも含まれてるからね」

俺「くれるものは貰っといたらいいんじゃない」

姉「特別なサービスをしてるわけでもないのに、お客さんから余計なお金貰うなんて気持ち悪いわ

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下町っ子のような歯切れよさにこちらもすっきり。美味しいランチをいただいた感謝の気持ちだけ残して、お釣りの1.50ポンドは持って帰ろう。

 

3.名古屋(Marylebone)

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ロンドンでもっとも賑やかなOxford Streetから北に徒歩10分ほど、オフィス街の広がる真ん中に「Nagoya」が出現する。控えめな外観なので、赤ちょうちんがなければ気づかずに通り過ぎてしまうかもしれない。

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店内は純和風の小料理屋的な造り。昭和の時代がまだ留まっているような佇まいだ。イギリスには昭和時代はなかったけど。

 

こちらもなんだか落ち着いてきた。じっくりとメニューを確認する。

チキンカツ定食とから揚げ定食が8.90ポンド。では大好物のから揚げにしよう。

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サラダもついて、食後のフルーツも出てくる。こうやってゆったりと食べていると、新橋の路地裏に隠れて昼休みを過ごしていた頃を思い出す。

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目の前の板前さんが難しそうな顔をしているのが気になる。思い切って声をかけてみる。

俺「なんでこの店は『名古屋』なんですか」

板「えっ、なんですか?私が名古屋の出身なんでね。味噌カツとかメニューにあるでしょ」

俺「あちゃー。味噌カツにすればよかった」

なんだかぎこちない会話で始まってしまったが、話しているうちにだんだん打ち解けてくる。

板「うちは〇〇さんみたいな高いお金とる店じゃないからね」

俺「気軽にランチできますね。ありがたいお店ですわ」

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会話が止まらなくなってきたが、次の予定があったので途中で離席。お釣りの1.10ポンドは、これからもお世話になりますという印にテーブルに置いていこう。

 

10ポンドでランチのできる日本食レストランは、どこも人情味にあふれるお店であった。

入れ替わりの激しいロンドンのレストラン業界ではあるけれど、こうやって地元に根付いて頑張っているお店は、探せばまだまだあるのかもしれない。ちょうど今日、11月24日は、いいにほんしょくで「和食の日」だそうだ。ロンドンにも「いいにほんしょく」がたくさんあることを、もっともっと皆さんにお伝えしていこう。

第26回 イギリスでみつける地域名産品

イギリスはどこへ行ってもFish & Chipsしか食べるものがなくて、がっかりするね~

というのはよく聞く話。これはある意味真実だ。私自身、イギリス国内を旅行するとFish & Chipsの食べ過ぎでいつも(さらに)太って帰ってくる。

ほんとうにイギリスには地域名産品といえる食べ物が無いのか?今回はロンドンの大手スーパーマーケットを巡りながら、実態を探ってみることにしたい。

 

1.スコットランドの牛肉

巨大な倉庫で食品や日用品を大量に売るCOSTCO(コスコ)。アメリカ資本だが世界中に展開し、日本にもイギリスにも巨大店舗を構える。ちなみに、日本で「コストコ」としてお馴染みのこのお店、英語では T を発音しないで「コスコ」と呼ばれている。

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ロンドン郊外にあるCOSTCOには、英国産にこだわる商品が多数揃っている。牛肉もすべて英国産で、特にScotch Beef(スコッチビーフ)を推しているようだ。

イギリスの最北端に位置するスコットランドは、広大な草原や荒涼とした自然といった英国人にとっての原風景の残る地域だ。そんな大自然の中で作られたスコッチウイスキーは味わいに深みがあるでしょう、ということで世界的に有名になったが、同じイメージでもってスコッチビーフのブランド化も進んでいるようだ。

 

早速購入してきたスコッチビーフの塊肉。ラベルの隅に、丸くて黄色いマークが付いているのにお気づきだろうか。このマークこそが、今回のレポートのテーマである。

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黄色いマークをさらに拡大してみよう。Protected Geographical Indicationと刻まれている。略してPGIと呼ばれるこのラベルは、日本語に直訳すると「保護された地理的表示」。特定の地域で生産・加工された農産物や加工食品で、その地域特有の品質や特徴をもち、高い評価を得ている製品をEU政府が認証したもの。

簡単にいうと、その地域でしか生産できない質の高い特産物に、国(EU)がお墨付きを与えた証拠である。例えばスコッチビーフでいえば、子牛が生まれてからお肉になるまでの一生をずっとスコットランドで過ごす。伝統的な餌やりの方法を守っているので肉の品質もいいという。

このマークを探し歩けば、イギリスのおいしい名産品に次々と出会えるのではないか??

 

次の名産品探しに出る前に、スコッチビーフを焼いておこう。既に糸でグルグル巻きにされている牛肉にフライパンで焦げ目をつけ、オーブンに放りこんで1時間。

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できあがり!いい色のローストビーフになった。この柔らかい肉質がスコッチビーフの特徴なのかな。グレービーソースをつけていただきます。

 

2.ウェールズのラム肉

次にやってきたのは、以前にもお世話になったドデカWaitrose。これまでに見たスーパーの中でもっとも品揃えがいい。

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肉コーナーには、牛肉、豚肉、鶏肉といっしょにラム(羊)肉が並んでいる。イギリスはラム肉の大生産国となっていて、豚肉と同じくらいの生産量がある。

棚に並ぶラム肉はすべて英国産。その中に、例の黄色いマークを発見した。

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Welsh Lambとはウェールズ地方のラムのことだ。イギリス西部のウェールズ地方は、未開発の自然が残るミステリアスな場所。以前レポートした、羊さんたちが道路にはみ出してきているところ。あそこがウェールズ。

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Welsh Lambは、ウェールズで育てられた羊であるのはもちろんのこと、ウェールズ固有の品種をルーツに持つとか、自然のままの草原で育てられるとか、高い肉質基準を満たしているとか、いろいろな要件をクリアしたラム肉のみにマークが与えられるとのこと。

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果たしてどのように優れているのか、実際に確かめてみることにしよう。

ローズマリーを乗せてフライパンでジュージュー。焦げ目がつけばできあがり。独特の風味をもつラム肉はちょっと苦手という日本人も多いが、ツボにはまると止められなくなる。Welsh Lamb はしっかりとした歯ごたえと濃厚な味が特徴。ラム肉ファンにはたまらない羊界の王様だ。

 

3.ポークパイ

店内を歩き回っていたら、パイ製品コーナーにもうひとつ黄色いマークを発見した。

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その名は、Melton MowbrayのPork Pie(ポークパイ)。Melton Mowbray(メルトン・モーブレイ)はイギリス中部にある小さい町の名前だ。

なぜパイに町の名前がついているのか。そこがポイントのようだ。

 

Melton Mowbrayのポークパイがただのポークパイと違っているのは、型にはめずに焼くので、外側が弓形(bow shape)となっていること(??)、熟成されない(uncured)豚肉を使っているので、詰め物の肉がローストポークのような灰色であること(???)だという。どのあたりがすごいのかにわかには理解できないが、とにかくいろいろとこだわりがあるらしい。

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黄色いマークを付けることができるのは、Melton Mowbray及びその周辺の地域で作られたポークパイに限られている。この地域でポークパイが作られた歴史は中世にまで遡るということだ。当時、このあたりに広がる草原へキツネ狩りに出かけるGentlemanが、おやつ代わりにポケットへ忍ばせたのがMelton Mowbrayのポークパイの起源だという。

なんてイギリス的な!!

 

みなさんも、旅行ついでにMelton Mowbrayへお立ち寄りの機会があれば(ないと思うが)、こだわりポークパイの素朴な味をぜひお確かめいただきたい。というか、ロンドンのスーパーでふつうに売っているので、ぜひお試しください。

 

4.ロンドンのスモークサーモン

Whole Foodsはアメリカから来たスーパーマーケットだが、英国のオーガニック食品や地場産品など、こだわりの商品を取り揃える。

スモークサーモンのコーナーにも、お高めのこだわり商品が並んでいる。その中でもひときわ値段の張るのが、黄色いマークの光るH Forman & Son社のスモークサーモンだ。

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原料のサーモンはスコットランド産だが、スモークハウスはなんとロンドンにあるという。"London Cure"(ロンドン燻製)と銘打たれたこの製法は、100年以上も前からロンドン東部のスモークハウスで守られてきたそうだ。

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London Cureでは、とれたてのサーモンをスコットランドから48時間以内にロンドンへ運び、オーク材で燻蒸し、人の手で皮と骨を取り除いて一枚ずつ丁寧にスライスしているという。

Forman家のひい爺さんが始めたこだわりの手作り製法を、子どもたちが今の時代まで受け継いできたところ、とうとうEU政府のお墨付きを貰うまでに至ったということやね。

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こだわりサーモンを試食してみよう。大量生産される薄切りサーモンと違い、肉厚があって表面がザラザラしている。しっかりした塩味もこだわりの味付けのようだ。

 

ということで、今回は4種類の名産品をご紹介できた。EU認証マークはイギリスの84商品につけられているというから、探せばまだまだ見つかるのだろう。

おっと。イギリスの名産品としていちばん有名なスティルトンチーズを紹介するのを忘れていた。しかし、イギリスのチーズ事情はなかなか奥が深くて、ここには書ききれない。次回に改めてご紹介することとしよう。

第25回 ロンドンで買える世界の食材

ロンドンは人種の博物館。街を歩いていても、地下鉄に乗っていても、英語以外の言語が常に聞こえてきます。そして、人種のバラエティに呼応するように、世界からあらゆる食材が集まってきます。世界中の食材が街中でいつでも手に入るなんて、すごく魅力的じゃないですか。

 

1.ポーランド

ポーランドは、2004年にEUへ加盟して以来イギリスへの移民が急増し、現在1千万人のポーランド人がイギリスに住んでいると言われています。移民の中で最大勢力となったポーランド人は、住居地域も広がっているようで、街中の至るところにポーランド食材店があります。

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ロンドン中心部から西へ車で40分くらいの Greenford (グリーンフォード)の町。日本人の多く住む Ealingのお隣で、様々な移民の住む町です。いろんな場所でポーランド店を見つけるたびに店内を覗いてきましたが、ここは私が見つけた中で最大のマーケットです。

 

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店内はあらゆる種類のポーランド産食品で埋め尽くされていました。ヨーグルトもインスタントラーメンも生卵も、ぜんぶポーランド産。スーパーマーケットが丸ごとポーランドから運ばれてきたみたいです。

 

対面コーナーには魚の燻製が並んでいました。日本の居酒屋でよく見かけるような商品がたくさんあってびっくり。

f:id:LarryTK:20170830145439j:plain f:id:LarryTK:20170830145525j:plain 鮭とばに出会えるとは

圧巻だったのはハム売り場。

f:id:LarryTK:20170830145620j:plain ハムがぎっしり

ショーケースの中があらゆる種類のハムで埋め尽くされています。しかもどれも美味そうだから困ります。店のおばさんがひとつひとつの特徴を丁寧に説明してくれました。

 

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先ほどの鮭とばと、ロースハムと牛タン煮こごりを購入して、ルンルン気分で帰宅。さっそく試食ですね。ビールは冷えてるかな。

 

2.アラブ諸国

ロンドンの街中を歩いていると、顔を布(ブブカ)で覆った女性をたくさん見かけます。イスラム教の人々ですね。イギリスにはイスラム教徒が300万人いると言われています。イスラムの皆さんは、実はとても外出好き。若い女性たちが楽しくお買い物する姿や、夜中に家族連れでレストランに入っていく光景をよく見かけます。

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Ealing (イーリング)にも、日本人だけでなく多くの移民が住んでいます。ポーランド食材店、ケバブ屋、タイ料理、アフリカンアメリカンの経営する散髪屋さんなど、様々な店が並ぶ中に、とてもきれいな外観のアラブ系スーパーマーケットがありました。

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アラブ系スーパーマーケットの特徴は、店先に並ぶ色とりどりの果物と野菜と、ハラルの肉売り場。以前も特集しましたが、アラブの人々はイメージと違って野菜好きなんですよね。

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この前の店と同じく、店内にはピクルスがわんさか。

f:id:LarryTK:20170903152632j:plain ピクルスずらり

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通路にまでピクルスの列が。日本の梅干しみたいにして売ってます。2ポンドと書いてあるけど、ほんまかいな。

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向かいの棚には、豆類の袋がずらり。ここまでいろいろ種類を取り揃える必要があるのかなと思ってしまいますが、きっと食へのこだわりが強いんですね。

'ADZUKI'と書いてあるのは、どうやら日本の小豆のようです。「アズキ」が世界共通語になっているとは知らなかった!

 

アラブ系マーケットは未知の世界でとても面白いけど、さて何を買おうかと店内を見渡すと、意外と手にとれそうなものがない。いろいろ迷ったあげくに野菜だけ買って出てきました。

 

3.韓国

イギリスに住む韓国人は4万人。6万人いる日本人(在留邦人)よりすこし小さめの勢力です。しかしながら、イギリスの韓国コミュニティには大きな特徴があります。

ロンドン中心から電車で30分ほどのNew Malden (ニュー・モルデン)という駅を降りると、そこはまるでソウルのよう。多くの韓国人がこの地域に居住し、大規模なコリアン・タウンを形成しているのです。

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New Moldenにはたくさんの韓国食材店や韓国料理店が集まっています。その中でひときわ賑わっているのがHMartというスーパーマーケット。韓国人のお客さんに交じって遠くから車で買い物に来る日本人もたくさんいます。私もその一人だ。

 

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韓国マーケットの陳列棚をみると、なんだかホッとします。食材の種類が日本のマーケットと似ているからでしょうか。特に、野菜や果物の品揃えが懐かしさを呼び起こします。

ロンドンの日本食材店も立派ですが、 こんなふうに一つのお店ですべての食材が手に入るような大型マーケットは無いんですよね。うらやましいな。

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もちろん、韓国スーパーですから、キムチと唐辛子の品揃えは半端ない。どのキムチを買おうか迷ってしまいます。

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鮮魚コーナーも種類豊富。現地スーパーの魚は目が濁っているとお嘆きの皆さん。ロンドンにも新鮮な魚はあるんですよ!

 

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韓国マーケットのいちばんのありがたみは、スライス肉が手に入ることです。店内のスライス機で一日中シャコシャコ肉を切っています。これも現地スーパーでは手に入らない逸品です。

 

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スーパーマーケットをぐるぐる廻っていたら、お腹がすいてきました。New Malden には韓国レストランもたくさんあります。まずはチゲ鍋でもいただくことにして、後でお買い物に戻ってくることにしましょう。

第24回 ロンドンのお勧めフードショー

 ロンドンではたくさんの食品展示会が開かれます。'Trade only'(業者限定)で一般の人たちが入場できない展示会もありますが、入場料を払えば誰でも参加できるイベントもいろいろあります。

どのイベントも入場料はだいたい£15~20くらい。会場内で料理を食べたり食材を買ったりするには別途お支払いが必要ですが、いろいろな料理を気軽に試せたり、お店で買うよりも安く買えたりすることで、お得感を生んでいるようです。

さて、どれくらいの満足感が得られるものか、早速イベント巡りに繰り出しましょう。

 

1.Taste of London

一年で最も日が長く、夜10時になってもまだ空の明るい6月半ば、Regent's Park(リージェンツパーク)の一画を仕切って 'Taste of London'(ティスト・オブ・ロンドン)が開かれました。

 

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会場内はすでに賑やかな人たちでいっぱい。青い空と緑の芝生と白いテントに包まれて、「ロンドンの短い夏を楽しんでいる感」が溢れ出ています。

Taste of London のウリは、普段はなかなか行けない高級レストランが小皿で料理を提供していて、気軽に食べ歩きできること。ロンドンの最近のレストラン事情を反映して、多国籍なレストランがずらりと並びます。

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小皿料理はだいたい£7くらい。それほど安いわけでもありませんが、レストランに入って食事をすれば£50はかかるかも、と思えば、あれもこれもと手が出てしまいます。

日本料理は無いのかな、と会場内を見渡したところ、

f:id:LarryTK:20170820080916j:plain 大賑わい

地元で大人気のRoka(ロカ)がありました。店内はお客さんで溢れていて肝心の商品が見えませんが、牛串焼きなどを売っている模様。これが日本食かどうか議論はあるとしても、いずれにしても大繁盛しておりました。

 

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Taste of London のもう一つのウリは、いろいろなお酒も楽しめること。ロンドンではビールを凌ぐほどにジンやウォッカが流行っていて、会場内にもクラフトジンなどがたくさん出店していました。

f:id:LarryTK:20170813231714j:plain f:id:LarryTK:20170813231751j:plain かっこいい!

最近ロンドンでは、どのバーに行ってもFever-Tree(フィーバー・ツリー)のトニックウォーターが出てきます。会場限定のジントニックをおねえさんに作ってもらいましょう。

 

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'Taste of London'では、食品の頒布・販売をする業者も多く出店しています。中華系調味料がセットで£5と聞いて、フラフラと購入。 怪しげな健康食品もいろいろと試せます。

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「味!」のバナーが目立つ醤油屋さんを発見。日本から醤油を輸入して、トリュフ味をつけて販売しているのだとか。普段はなかなかお目にかからない商品に出会えます。

 

f:id:LarryTK:20170813231153j:plain f:id:LarryTK:20170820080816j:plain まったり

食べて、飲んで、買って、くつろいで。あらゆる角度から食を堪能できるイベントでした。次回は11月にTobacco Dockという屋根のある会場で開催されるようです。こんどはまた違った食の楽しみ方を見せてくれるのでしょうか。

london.tastefestivals.com

 

2.BBC Good Food Show

これは昨年11月のイベント。随分古い情報ですみません。Kensington(ケンジントン)にあるOlympia(オリンピア)という会場でBBC Good Food Show(グッド・フード・ショー)が開催されました。

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BBC Good Food Show は、質の高い食材がスーパーで買うよりも安く手に入ることで有名。会場には、大きな買い物かごを持参してきた人たちが次々と集まってきます。みんな買う気満々だ!

 

このイベントには世界各国の食材が集まっていて、日本食材もたくさん出店しています。すこし覗いてみましょう。

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キッコーマンのブース。ごはんに醤油をかけただけの試食品が配られています。イギリス人に醤油の味を知ってもらうには、これがいちばん効果的なのかも。

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日本から来たという米菓やさん。給水機みたいなところから、'あられ' が転がり出てきて、なんだか面白い。イギリス人もなんだなんだと集まってきます。

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味噌やさんとお茶やさん。いずれも日本では見ない英国ブランドですが、厳選された日本産の食材を使っていることを強調していました。

 

BBC といえば、Saturday Kitchen(サタデーキッチン)を代表とするお料理番組が有名。会場内のホールにもキッチンスタジオが作られていて、愉快なトークと華麗なクッキングデモが披露されていました。とてもテンポがよくて、本物の番組を見ている感覚に包まれます。

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いつの間にか、私も大量の商品を両手に抱えていました。オリーブオイルにジンジャーリカー、ポップコーン、チョコレート・・・

そろそろ会場を出ようかというところで、長い行列を発見。何だろなと思いながら行列の後ろにくっついてみます。

f:id:LarryTK:20170820080703j:plain  f:id:LarryTK:20170814061330j:plain どっさり

すると、大きな袋を手渡されて、いろんな試供品が次々と投げ込まれます。あっという間に袋いっぱいに。お土産袋だったんですね。満足感さらにアップです。

 

ロンドン会場も十分な賑わいでしたが、イギリス第二の都市 Birmingham(バーミンガム)では年2回開催され、地元の人たちがこぞって押し寄せて大活況を呈しているそうです。イギリス人の心をしっかりと掴んでいるのですね。

今年のロンドンでは、 'Feast'(饗宴)と題したイベントが9月にTower of London(ロンドン塔)行われるようです。歴史ある会場で開かれるFood Sowがどんな趣向になるのか、これまたとても気になりますね。

www.bbcgoodfoodshow.com

 

3.Night Market

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今年6月、Night Market(ナイト・マーケット)という初めてのイベントが、Kensington Gardens(ケンジントン公園)の一画で開かれました。

 

Nightといっても日は長いので、「夕涼み市」といった雰囲気。Evening Standard(イブニング・スタンダード)という無料夕刊紙が主催していて、新聞や地下鉄の広告で大々的に宣伝されたので、多くのロンドン市民が気になっていたのでしょう。会場は大変な混雑ぶりでした。

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イベントの雰囲気は、Taste of Londonと似た感じ。規模は少し小さめで、食材の物販が無く、レストランが中心でした。芝生と周囲の緑の美しさはこちらの方が上かな。

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なにしろすごい人混みで、お店で何を売っているのか見えない状態。中でも一番列の長かったロースト肉のお店にエイヤッと並んでみました。

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並ぶこと約30分。自然に前後の人同士で会話が生まれたり、周囲の人と冗談を言い合ったりして、並んでいる間も意外と楽しく過ごせるところにロンドンらしさを感じます。

f:id:LarryTK:20170814061727j:plain 列に並んでる間にカクテルを買いに走る

ようやくゲットした豚肉ローストとウォッカトニックが本日の夕食。賑やかな広場で食べるのは楽しいですね。

 

ほとんど列に並んでいただけという気もしないでもないですが、なぜか満足して会場を去ります。ようやく日が沈んで、本物の 'Night Market' になっていました。

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Taste of Londonとお客の取り合いにならないか心配でもありますが、ロンドンの夏の風物詩としてこのイベントも定着してくれるといいですね。

 

第23回 甦った! バラマーケット

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6月3日土曜日の夜10時過ぎ、白いバンがロンドン・ブリッジを暴走し、車内から飛び出してきた3人がバラマーケット(Borough Market)を襲った。マーケット自体は閉店後だったものの、マーケットを取り囲む多くのパブやレストランは大いに賑わっている時間帯であった。

事件のあと、バラマーケットは実況見分のため閉鎖を余儀なくされた。しかし、わずか11日後の6月14日、多くのファンが見守る中でマーケットは力強く再開した。

 

<バラマーケットの再開を伝えるニュース>

www.theguardian.com

 

私も、これまで幾度となくバラマーケットを訪れ、また、多くの方々をご案内してきた。私とともにバラマーケットをこよなく愛してきた皆さんに、事件から1か月以上経ったマーケットの現在の様子をご報告したい。

 

1.バラマーケット参上! 

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バラマーケットの最寄り駅は地下鉄London Bridge駅。電車を降りたあたりから、今日は何を食べようかなどとワクワク感が抑えられなくなる。今回は事件後初の訪問というドキドキ感も加わり、気持ちが高まって足がもつれそうになる。

 

着いた!

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まだ午前中だというのに、すごい人出だ。事件前とまったく変わらない混み具合。

ストールはどうだろうか。お店の数が減ったりしていないか、さっそくマーケット内をグルグルと回ってみる 。

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あるあるある。

チーズの量り売り屋さん、3本まとめ売りのソーセージ屋さん、パルマハムのスライス屋さん、国内各地から選りすぐった果物屋さん。どこもここも、バラマーケットを訪れるたびに覗いて回るお店だ。いつもの場所、いつもの笑顔でいつもの商品を売っている。私もいつものように一つ一つのお店を覗いて回る。

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狭い道路を挟んだ向こう側には、世界各国の料理がずらりと並ぶ。おじさんが豚の丸焼きをグルグル回している。

ちっとも変っていない!

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ちっとも変わらないのは、マーケットを取り囲むパブやレストランも同じだ。人気のモンマスコーヒーには相変わらず長蛇の列。

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後日訪れた夜のバラマーケット。マーケットが閉店した後も、お店から溢れ出てくる人、人、人。パブ の中も外も、ビール片手に大声でしゃべり続ける人々で埋め尽くされている。

 

2.事件を乗り越えて

バラマーケットはすっかり賑わいを取り戻していた。もう事件の記憶は消えてなくなったのだろうか。

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'#LoveBorough' と書かれたハートマークのロゴ。マーケットのいろんなところにポスターがペタペタ貼ってある。素敵な手書きのロゴもあった。

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お店のレジにも同じロゴが。事件の被害者へのドネーションを呼び掛けている。

ストールに立つおじさんに声をかけてみた。「こうやってみんなで美味しいものを買いに来てくれるのが、いちばんありがたいよ。」

あんな事件があったからこそ、みんながバラマーケットをもっと好きになって、世界中からもっとたくさんの人々が集まってくる。ここにイギリスの力強さがある。

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ロゴの上にメニューのチラシが覆い被さっている。事件を乗り越えて前に進んでいこうとする逞しさを感じるのは、深読みのしすぎか。

 

3.あとは楽しむ!

それでは我々も、大いに楽しんでバラマーケットの復興に寄与することにしよう!

f:id:LarryTK:20170716173321j:plain f:id:LarryTK:20170716173359j:plain まずはシャンパンで喉を潤す

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大きなパエリア鍋から次々と試食させる光景を思い出す人は多いだろう。実はこの店の看板にデカデカと宣伝されているのは、イカのカラマリだったりする。塩コショウたっぷりの揚げたてカラマリをふーふー冷ましながら頬張る。

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生牡蠣を食べさせる店はマーケット内に何軒もあるが、こんなにデカい牡蛎を剥いてくれるのはこの店だけだ。

f:id:LarryTK:20170716174053j:plain メインデッシュの前にワインを補充

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ソルト・ビーフ(Salt beef: 塩漬けビーフ)は、実は隠れたロンドン名物ではないかと思っている。コンビーフの別名だと言われているけど、ぜんぜん違う!

パンの上にビーフを山盛りに積み上げて、サンドイッチにして食べる。食べにくいことこの上ないが、それでもまた食べたくなる。

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フィッシュ・アンド・チップス(Fish & Chips)の店の前にはいつも長い行列。それでも並ぶ価値はある。'Proper Fish & Chip' (正統派フィッシュ・アンド・チップス)の宣伝は決して誇張ではない。

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食後のアイスクリーム。あれこれ試食しているうちにお腹いっぱいになってくるから要注意。

 

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家に帰って、買ってきたモッツアレラチーズとソーセージで軽く一杯。

いろいろご紹介したが、バラマーケットの魅力はまだまだ語り尽くせていない。もっともっとたくさん通い続けないとね。