第16回 急成長中!イングリッシュワイン
イギリス産のワイン?こんな寒い国でまさかという皆さんにお伝えしたい。イギリスでもワインを作ってます。しかも、この数年間に急成長を遂げているというから、驚き!
1.イングリッシュワインを飲もう!
ロンドン中心部のデパート、M&Sの食品コーナーでイングリッシュワインを売っているという噂を聞いて、現場を尋ねてみました。
おおー。ありましたわ。スパークリングワインが4種類、白ワインが11種類。赤ワインが2種類。こんなに簡単に手に入るとは!
見つけたからには、買わないという選択肢も無い。スパークリングと赤白を1本ずつ抱えて帰ってきました。
それでは、試飲。う~ん、うまい!
どんな味かって?ワインの味をうまくお伝えできる自信も無いので、ここはプロの方の表現をお借りして、
『トーストしたカラメル・ブリオッシュの香りに、リンゴ・ナシ・アプリコットやキャンディ・アーモンドがほのかに感じられ、すっきりとした辛口の酸味とキャンディ・ブリオッシュの後味が残る。』(Glass of Bubbly)
まあ、だいたいそんな感じかな。ブリオッシュがなんなのかよくわかんないけど。
2.Chapel Down
イングリッシュワインの代表格としてあげられるのが、Chapel Downという銘柄。
今年、Downing 10(首相官邸)の公式サプライヤーになったというニュースが話題になりました。首相官邸では、フランス産のシャンパンを止めて英国産のスパークリングワインを使うようになったとのこと。
では早速試飲。ふむふむ、キリッとした酸味が舌を刺激する。食前酒には最適かな。(語彙が貧祖ですみません。)
M&Sを覗いたとき、日本産の甲州ワインが1種類だけ置いてあるのを発見したので、ついでに買ってきました。北半球の島国からやってきたワインということで、共通するものがあるかも、と思って飲み比べてみたところ・・・
ほ~。こんなにも違うのか。
さらりとした甲州ワインと、後味しっかりのイングリッシュワイン。甲州ワインを飲んでいると、なぜか日本酒のイメージが浮かんできます。イングリッシュワインには、フランスのシャンパンの風味がしっかりと引き継がれている。これがアジアとヨーロッパの文化の成り立ちの違いなのでしょう。
3.イングリッシュワインの産地
イングリッシュワインはどこで作られているのか?
ガイドマップの地図をご覧ください。(見にくければ、リンクを開いてみてね。)
ロンドンの南東、KentやSussexといわれるイギリスで最南端に位置する地域に、ワイナリーが集中しているのがわかります。ドーバー海峡を隔てた向こう側はもうフランス。かの有名なシャンパーニュ地方とは、直線距離で200kmくらいしか離れていません。
気候が冷涼なためにブドウが育たなかったイギリスですが、このあたりの土質はシャンパーニュ地方とだいたい同じだそうで、地球温暖化の影響で平均気温が上がってくると、ワイン作りに最も適した地域に生まれ変わりつつあるといわれています。逆に、シャンパーニュ地方では夏の日照りが強すぎて、いいワインを作るのが難しくなっているとか。
4.ワイナリーへ行ってみよう!
なんと、ロンドンの近くで作っているんじゃないか。行くしかない!
ロンドンから車を飛ばして約2時間。Tenterdenという蒸気機関車の走るかわいらしい街の外れに、Capel Downのワイナリーがありました。
ワインの並ぶショップには後で入ることにして、まずは2階のレストランで腹ごしらえ。
オープンキッチンのオシャレな店内。席が空くまで、スパークリングワインを片手にバーで優雅にくつろぎます。
食事も本格的でした(写真撮るの忘れた)。大満足。さて、お腹いっぱいになったら、ショップの裏のブドウ畑を散歩してみましょう。
ブドウ畑はこちら⇒
美しい。。
イギリスの土地で、ブドウはたしかに育っていました。なだらかな傾斜地に太陽が燦々と降り注いでいます。林に囲まれた畑には、ブドウの木がずらり。
ちょうど秋の収穫が終わったあとのブドウ畑には、熟れたブドウの実があちらこちらに摘み残されています。区画ごとにわざわざ違った種類のブドウを栽培して、お客さんがぜんぶ見られるように配置されていました。
左が(たぶん)Bacchus、右は(きっと)Chardonnay
ブドウ畑はまだまだ続きます。
これは(おそらく)Pinot Noir
ブドウ畑をぐるりと周ってショップに戻ってくると、1本ずつのボトルごとに違いが見えてくるような気がしてきます。ロンドンではお目にかかれない商品もたくさん。あれも買いたい、これも買いたい。。
工場は激しく稼働中。
迷った末に、いちばん変わり種のNectarを買って帰ってきました。ボトルが細い。
名前のとおり、甘~いデザートワインでした。イギリスではこんなワインまで作れるのね。イングリッシュワインの奥深さを堪能したところで、今回のレポートはここまで。