ロンドン食と農の便り(Monthly Report)

ロンドンの食とイギリスの農業について毎月レポートを書きます。

第25回 ロンドンで買える世界の食材

ロンドンは人種の博物館。街を歩いていても、地下鉄に乗っていても、英語以外の言語が常に聞こえてきます。そして、人種のバラエティに呼応するように、世界からあらゆる食材が集まってきます。世界中の食材が街中でいつでも手に入るなんて、すごく魅力的じゃないですか。

 

1.ポーランド

ポーランドは、2004年にEUへ加盟して以来イギリスへの移民が急増し、現在1千万人のポーランド人がイギリスに住んでいると言われています。移民の中で最大勢力となったポーランド人は、住居地域も広がっているようで、街中の至るところにポーランド食材店があります。

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ロンドン中心部から西へ車で40分くらいの Greenford (グリーンフォード)の町。日本人の多く住む Ealingのお隣で、様々な移民の住む町です。いろんな場所でポーランド店を見つけるたびに店内を覗いてきましたが、ここは私が見つけた中で最大のマーケットです。

 

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店内はあらゆる種類のポーランド産食品で埋め尽くされていました。ヨーグルトもインスタントラーメンも生卵も、ぜんぶポーランド産。スーパーマーケットが丸ごとポーランドから運ばれてきたみたいです。

 

対面コーナーには魚の燻製が並んでいました。日本の居酒屋でよく見かけるような商品がたくさんあってびっくり。

f:id:LarryTK:20170830145439j:plain f:id:LarryTK:20170830145525j:plain 鮭とばに出会えるとは

圧巻だったのはハム売り場。

f:id:LarryTK:20170830145620j:plain ハムがぎっしり

ショーケースの中があらゆる種類のハムで埋め尽くされています。しかもどれも美味そうだから困ります。店のおばさんがひとつひとつの特徴を丁寧に説明してくれました。

 

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先ほどの鮭とばと、ロースハムと牛タン煮こごりを購入して、ルンルン気分で帰宅。さっそく試食ですね。ビールは冷えてるかな。

 

2.アラブ諸国

ロンドンの街中を歩いていると、顔を布(ブブカ)で覆った女性をたくさん見かけます。イスラム教の人々ですね。イギリスにはイスラム教徒が300万人いると言われています。イスラムの皆さんは、実はとても外出好き。若い女性たちが楽しくお買い物する姿や、夜中に家族連れでレストランに入っていく光景をよく見かけます。

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Ealing (イーリング)にも、日本人だけでなく多くの移民が住んでいます。ポーランド食材店、ケバブ屋、タイ料理、アフリカンアメリカンの経営する散髪屋さんなど、様々な店が並ぶ中に、とてもきれいな外観のアラブ系スーパーマーケットがありました。

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アラブ系スーパーマーケットの特徴は、店先に並ぶ色とりどりの果物と野菜と、ハラルの肉売り場。以前も特集しましたが、アラブの人々はイメージと違って野菜好きなんですよね。

larrytk.hatenablog.com

 

この前の店と同じく、店内にはピクルスがわんさか。

f:id:LarryTK:20170903152632j:plain ピクルスずらり

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通路にまでピクルスの列が。日本の梅干しみたいにして売ってます。2ポンドと書いてあるけど、ほんまかいな。

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向かいの棚には、豆類の袋がずらり。ここまでいろいろ種類を取り揃える必要があるのかなと思ってしまいますが、きっと食へのこだわりが強いんですね。

'ADZUKI'と書いてあるのは、どうやら日本の小豆のようです。「アズキ」が世界共通語になっているとは知らなかった!

 

アラブ系マーケットは未知の世界でとても面白いけど、さて何を買おうかと店内を見渡すと、意外と手にとれそうなものがない。いろいろ迷ったあげくに野菜だけ買って出てきました。

 

3.韓国

イギリスに住む韓国人は4万人。6万人いる日本人(在留邦人)よりすこし小さめの勢力です。しかしながら、イギリスの韓国コミュニティには大きな特徴があります。

ロンドン中心から電車で30分ほどのNew Malden (ニュー・モルデン)という駅を降りると、そこはまるでソウルのよう。多くの韓国人がこの地域に居住し、大規模なコリアン・タウンを形成しているのです。

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New Moldenにはたくさんの韓国食材店や韓国料理店が集まっています。その中でひときわ賑わっているのがHMartというスーパーマーケット。韓国人のお客さんに交じって遠くから車で買い物に来る日本人もたくさんいます。私もその一人だ。

 

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韓国マーケットの陳列棚をみると、なんだかホッとします。食材の種類が日本のマーケットと似ているからでしょうか。特に、野菜や果物の品揃えが懐かしさを呼び起こします。

ロンドンの日本食材店も立派ですが、 こんなふうに一つのお店ですべての食材が手に入るような大型マーケットは無いんですよね。うらやましいな。

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もちろん、韓国スーパーですから、キムチと唐辛子の品揃えは半端ない。どのキムチを買おうか迷ってしまいます。

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鮮魚コーナーも種類豊富。現地スーパーの魚は目が濁っているとお嘆きの皆さん。ロンドンにも新鮮な魚はあるんですよ!

 

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韓国マーケットのいちばんのありがたみは、スライス肉が手に入ることです。店内のスライス機で一日中シャコシャコ肉を切っています。これも現地スーパーでは手に入らない逸品です。

 

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スーパーマーケットをぐるぐる廻っていたら、お腹がすいてきました。New Malden には韓国レストランもたくさんあります。まずはチゲ鍋でもいただくことにして、後でお買い物に戻ってくることにしましょう。