ロンドン食と農の便り(Monthly Report)

ロンドンの食とイギリスの農業について毎月レポートを書きます。

おまけ ロンドンを実感する食べもの

昨年夏に感動の最終回を迎えたこのブログですが、先日ロンドンを再訪する機会があり、短い滞在ながらいろいろ面白い経験をしたので、また書きたくなりました。「おまけ」ということで、こっそりまとめておきます。

 

1.マーマイトは薄く、クロテットクリームは厚く

イギリス人の「心の友」といえるもので、日本人には決して理解されない食べもの。これは「マーマイト」Marmiteをおいては無いでしょう。

ビールの醸造過程で生ずる副産物(酵母の残り粕??)を商品化したという、この謎の物体に、ロンドンのホテルの朝食会場で久しぶりにお目にかかりました。

f:id:LarryTK:20190615233557j:plain f:id:LarryTK:20190615233624j:plain チョコレート色だが、味はチョコレートとは程遠い

日本人のおよそ苦手なマーマイト。苦いというか、臭いというか。いったいイギリス人はどうやってこれを食べるのでしょうか。

f:id:LarryTK:20190615233702j:plain 薄~く

知り合いのイギリス人によると、マーマイトは、食パンに薄~く塗るのがコツなんだそうです。

可能な限り薄~く塗って、普段どおりの朝の食卓にほんの少しアクセントを加えるのが目的なんだとか。

f:id:LarryTK:20190623213642j:plain たぶんこんな感じに塗る

薄く塗ったマーマイトの上に、しっかりとバターを重ねて、準備完了のようです。

では食べてみましょう。

う~む。マーマイトの刺激的な味が、バターの甘みを引き立たせている、と言えなくもないかな。

 

きっとマーマイトとは、私たちの使う「もろみ味噌」とか「かんずり」のようなものなんですね。ガバッと食べるものではない。薄~くが基本です。

 

時計の針は進んで、午後になりました。さあ、アフタヌーンティーの時間だ!

しかし、ここで食べすぎると夕飯が入らなくなる、、とお困りの方には、クリームティー cream tea をお勧めします。スコーンとお茶だけのシンプルな組み合わせで、お財布にも優しい。

f:id:LarryTK:20190615233753j:plain 焼きたてほかほかのスコーン

スコーンには必ず、クロテットクリーム clotted cream とジャムが付いてきます。

クロテットクリームとは、イギリス南西部のコーンウォール地方やデヴォン地方の牛乳から作られる、フレッシュなバタークリームのこと。日持ちしないので手に入りにくい食べものです。

 

このクロテットクリームをスコーンに塗るのが、意外と難しいんです。

まずはナイフでスコーンを真っ二つに割ります。その断面にクリームとジャムを塗るわけなんだけど、、

f:id:LarryTK:20190615233821j:plain 見るからに脆い

パンにバターを塗るような気分でクリームを延ばそうとすると、スコーンがボロボロッと崩れてしまいます。とても脆いんですよ。

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正解は、バターナイフでグイッとクリームをすくって、スコーンに厚~くべちょべちょっとつける。塗るというより、盛る感じで。

貧乏性の私にはドキドキするくらいの厚~い盛り方がいいらしい。カロリー計算など忘れて幸せな午後の時間を過ごすのも、イギリスらしいじゃありませんか。

 

2.ぶよぶよソーセージとかりかりポーク

翌朝は、イングリッシュ・ブレックファスト English Breakfast を食べにホテルの外へ出てきました。

早速オシャレなレストランを見つけた!

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英国の朝ごはんについては、以前に特集したことがありました。English Breakastの基礎知識はそちらを見てもらうとして、、

f:id:LarryTK:20190615234326j:plain 典型的なEnglish Breakfastに再会

今回は、お皿の上に載っている食材に焦点を当てます。それは、ソーセージ!

よ~く写真を見てください。「ずんぐりむっくり」なソーセージは、日本のものとはかなり風貌が違います。

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ナイフで切ってみると、ぶよぶよとした微妙な手ごたえが残ります。皮のパリっと感も、身のプリっと感もない。

例のイギリス人に、パリっとシャウエッセンみたいなソーセージを使った方がいいのではないかと進言したところ、なんとこのぶよぶよ感が欠かせないんだとか。

「朝ご飯だから、お腹に溜まるものがほしいわけ。」

アメリカ人はソーセージをパンに挟んでホットドッグにするよね。ソーセージだけじゃお腹いっぱいにならない。イギリス人はパンで挟む代わりに、ミンチ肉にパン粉を混ぜて、嵩増しソーセージを作るというわけ。

このイギリス人の解説が真実なのか詭弁なのか判別できませんが、パン粉入りぶよぶよソーセージも、毎日顔を合わせていると食べ慣れてくるものです。

 

さて夜になりました。といっても、初夏のイギリスは午後9時頃まで空が明るい。

最終夜はパブ飯でイギリスらしさを堪能しましょう。 

f:id:LarryTK:20190615234036j:plain f:id:LarryTK:20190615234156j:plain ぬる~いエールビールで乾杯

パブの前に人が溢れていても怯む必要はありません。店内に入ると意外と空いているのがロンドンの常識。サッカーの試合が始まる前に、さっさとテーブルを占有します。

 

ロンドンのパブは最近系列化が進んでいて、どの店に入ってもメニューが同じということが多いんですが、丁寧に探すと美味しいイギリス料理を出すお店も見つかります。

本当はラムを食べたかったけど、売り切れとのこと。時期が少し早かったかな。代わりにRoast Pork Belly(豚バラロースト)にしました。

 

f:id:LarryTK:20190615234125j:plain どかんと出てきた

期待に違わぬボリュームの豚バラが出てまいりました。イギリスのpork bellyの特徴は、 皮がよ~~く焼かれていること。かりかりになるまで、というよりガチガチになるまで焼いてある。

皮にひっついている脂身も濃厚で、食べ応えがあります。

クリスマスマーケットなどで、豚皮と脂身だけを焼いたpork scratchingsがスナックとして売られてたり、バラマーケットでも、丸焼きの豚からカリカリの皮を剥いでlunch boxに載せてくれたり、イギリス人は豚のかりかり皮が大好き。私も大好き!

 

私の短いロンドン滞在はあっという間に終わってしまいました。まだローストビーフもラムチョップも食べてないし、ピムスも飲んでないのに。。

続きはまた近いうちに、、と心の中に固く誓って、今回のおまけ回はここまで。