第24回 ロンドンのお勧めフードショー
ロンドンではたくさんの食品展示会が開かれます。'Trade only'(業者限定)で一般の人たちが入場できない展示会もありますが、入場料を払えば誰でも参加できるイベントもいろいろあります。
どのイベントも入場料はだいたい£15~20くらい。会場内で料理を食べたり食材を買ったりするには別途お支払いが必要ですが、いろいろな料理を気軽に試せたり、お店で買うよりも安く買えたりすることで、お得感を生んでいるようです。
さて、どれくらいの満足感が得られるものか、早速イベント巡りに繰り出しましょう。
1.Taste of London
一年で最も日が長く、夜10時になってもまだ空の明るい6月半ば、Regent's Park(リージェンツパーク)の一画を仕切って 'Taste of London'(ティスト・オブ・ロンドン)が開かれました。
会場内はすでに賑やかな人たちでいっぱい。青い空と緑の芝生と白いテントに包まれて、「ロンドンの短い夏を楽しんでいる感」が溢れ出ています。
Taste of London のウリは、普段はなかなか行けない高級レストランが小皿で料理を提供していて、気軽に食べ歩きできること。ロンドンの最近のレストラン事情を反映して、多国籍なレストランがずらりと並びます。
多国籍な美女たちがお出迎え
小皿料理はだいたい£7くらい。それほど安いわけでもありませんが、レストランに入って食事をすれば£50はかかるかも、と思えば、あれもこれもと手が出てしまいます。
日本料理は無いのかな、と会場内を見渡したところ、
大賑わい
地元で大人気のRoka(ロカ)がありました。店内はお客さんで溢れていて肝心の商品が見えませんが、牛串焼きなどを売っている模様。これが日本食かどうか議論はあるとしても、いずれにしても大繁盛しておりました。
Taste of London のもう一つのウリは、いろいろなお酒も楽しめること。ロンドンではビールを凌ぐほどにジンやウォッカが流行っていて、会場内にもクラフトジンなどがたくさん出店していました。
かっこいい!
最近ロンドンでは、どのバーに行ってもFever-Tree(フィーバー・ツリー)のトニックウォーターが出てきます。会場限定のジントニックをおねえさんに作ってもらいましょう。
'Taste of London'では、食品の頒布・販売をする業者も多く出店しています。中華系調味料がセットで£5と聞いて、フラフラと購入。 怪しげな健康食品もいろいろと試せます。
「味!」のバナーが目立つ醤油屋さんを発見。日本から醤油を輸入して、トリュフ味をつけて販売しているのだとか。普段はなかなかお目にかからない商品に出会えます。
まったり
食べて、飲んで、買って、くつろいで。あらゆる角度から食を堪能できるイベントでした。次回は11月にTobacco Dockという屋根のある会場で開催されるようです。こんどはまた違った食の楽しみ方を見せてくれるのでしょうか。
2.BBC Good Food Show
これは昨年11月のイベント。随分古い情報ですみません。Kensington(ケンジントン)にあるOlympia(オリンピア)という会場でBBC Good Food Show(グッド・フード・ショー)が開催されました。
BBC Good Food Show は、質の高い食材がスーパーで買うよりも安く手に入ることで有名。会場には、大きな買い物かごを持参してきた人たちが次々と集まってきます。みんな買う気満々だ!
このイベントには世界各国の食材が集まっていて、日本食材もたくさん出店しています。すこし覗いてみましょう。
キッコーマンのブース。ごはんに醤油をかけただけの試食品が配られています。イギリス人に醤油の味を知ってもらうには、これがいちばん効果的なのかも。
日本から来たという米菓やさん。給水機みたいなところから、'あられ' が転がり出てきて、なんだか面白い。イギリス人もなんだなんだと集まってきます。
味噌やさんとお茶やさん。いずれも日本では見ない英国ブランドですが、厳選された日本産の食材を使っていることを強調していました。
BBC といえば、Saturday Kitchen(サタデーキッチン)を代表とするお料理番組が有名。会場内のホールにもキッチンスタジオが作られていて、愉快なトークと華麗なクッキングデモが披露されていました。とてもテンポがよくて、本物の番組を見ている感覚に包まれます。
いつの間にか、私も大量の商品を両手に抱えていました。オリーブオイルにジンジャーリカー、ポップコーン、チョコレート・・・
そろそろ会場を出ようかというところで、長い行列を発見。何だろなと思いながら行列の後ろにくっついてみます。
どっさり
すると、大きな袋を手渡されて、いろんな試供品が次々と投げ込まれます。あっという間に袋いっぱいに。お土産袋だったんですね。満足感さらにアップです。
ロンドン会場も十分な賑わいでしたが、イギリス第二の都市 Birmingham(バーミンガム)では年2回開催され、地元の人たちがこぞって押し寄せて大活況を呈しているそうです。イギリス人の心をしっかりと掴んでいるのですね。
今年のロンドンでは、 'Feast'(饗宴)と題したイベントが9月にTower of London(ロンドン塔)行われるようです。歴史ある会場で開かれるFood Sowがどんな趣向になるのか、これまたとても気になりますね。
3.Night Market
今年6月、Night Market(ナイト・マーケット)という初めてのイベントが、Kensington Gardens(ケンジントン公園)の一画で開かれました。
Nightといっても日は長いので、「夕涼み市」といった雰囲気。Evening Standard(イブニング・スタンダード)という無料夕刊紙が主催していて、新聞や地下鉄の広告で大々的に宣伝されたので、多くのロンドン市民が気になっていたのでしょう。会場は大変な混雑ぶりでした。
イベントの雰囲気は、Taste of Londonと似た感じ。規模は少し小さめで、食材の物販が無く、レストランが中心でした。芝生と周囲の緑の美しさはこちらの方が上かな。
なにしろすごい人混みで、お店で何を売っているのか見えない状態。中でも一番列の長かったロースト肉のお店にエイヤッと並んでみました。
並ぶこと約30分。自然に前後の人同士で会話が生まれたり、周囲の人と冗談を言い合ったりして、並んでいる間も意外と楽しく過ごせるところにロンドンらしさを感じます。
列に並んでる間にカクテルを買いに走る
ようやくゲットした豚肉ローストとウォッカトニックが本日の夕食。賑やかな広場で食べるのは楽しいですね。
ほとんど列に並んでいただけという気もしないでもないですが、なぜか満足して会場を去ります。ようやく日が沈んで、本物の 'Night Market' になっていました。
Taste of Londonとお客の取り合いにならないか心配でもありますが、ロンドンの夏の風物詩としてこのイベントも定着してくれるといいですね。