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ロンドン食と農の便り(Monthly Report)

ロンドンの食とイギリスの農業について毎月レポートを書きます。

第2回 ロンドンの食品コーナーで日本食材が買えるか

ロンドンには日本からたくさんの食材がやってくる。

日々の暮らしを日本食で過ごす駐在員や日本に長年滞在していた英国人家族は、日本食材を求めてJapan Centreなどの専門店に顔を出す。しかし、友人に誘われるまま寿司レストランに行って日本食ファンになったような英国人は、まずは自分がいつも通っている店の食品コーナーで日本食材を探すだろう。

そこで今回は、英国人の通う食品コーナーでどれくらい日本食材が買えるかを調査してみた。まずは、高級デパートとして言わずと知れた "Harrods" の食品コーナーと、品質の高い品揃えが売りのスーパーマーケット "Waitrose" にて調査を開始した。

この調査の難しいのは、私が訪れた店・日時に置いてあった商品しか報告できないことだ。たまたまその時だけ売り切れだったかもしれないし、私が見落とした可能性も否定できない。

もし「こんな日本食材もあったぞ!」という方がおられれば、どうぞ私に、いつ・どの店の・どのあたりの棚に置いてあったかを教えていただきたい。早速その店へ参上して、自分の目で商品が確認でき次第、喜んで記事を追加させていただく。

 

1.Harrods

高級デパート "Harrods" は、ロンドンの中心部 Knightsbridge駅のそばにあり、地元の富裕層に観光客、アラブ系やアジア系と、あらゆる階層の人々で年中ごった返している。

由緒ありげな玄関をくぐると、高価そうな宝石や時計が並んでいて面食らうが、そこを抜けるといきなり食品コーナーに様変わりし、これが地上階の中心部を占めている。

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Harrodsの食品コーナーは4部屋に広がっているが、一部はイートインや対面のナカ食カウンターとなっているので、食材そのものの売り場はそれほど広くない。私は、日本食材を探して、この4部屋をグルグルと歩き回ってみた。

なお、地上階の4部屋の他に、地下にはワイン・スピリッツの部屋がある。実はここで日本産ウィスキーが驚くべきプレゼンスを誇っていたのだが、その話はまたの機会にご報告することにしたい。

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食品コーナーを何度も往復し、棚に並ぶ商品をくまなくチェックしたが、私が見つけられたのは、Kikkomanの醤油と和牛だけだった。醤油はドイツ産だから、純粋に日本からやってきた食材は和牛のみということになる。

精肉コーナーにおける和牛の地位は非常に高い。壁の至るところで、和牛の品質がいかに高いかが説明されている。

ところがこれがまた微妙なのだ。"Wagyu Beef" として売られているのは、実はオーストラリア産なのだ。EC規則に従ってしっかりと原産国表示がされている。そしてその横に、"Kobe Wagyu Beef" が置いてある。これは "Japan Hyugo"(兵庫県?)産とされていて、両者相譲らずといった風情である。

オーストラリア産Wagyuは£20-30(3700円-5500円)/100gの値札がついていて、一般の牛肉とは桁が違う。さらに日本産はその倍の値段を付けていて、異次元の戦いを繰り広げていたのであった。

 

2.Waitrose

"Waitrose" は、品質にこだわった食材を揃えるスーパーマーケットとして他のチェーン店との差別化を図りつつ、ロンドンに広く店舗展開している。上中流階級の人々や生活に余裕のある老夫婦のほか、食品の品質に神経質な日本人駐在員も多く訪れる。

今回調査したのは、ロンドン中心部より少し北側にある Finchley Road 店。日本人駐在員(及び私)が いつもたむろしている店なので、食材の取り揃えもちょっと日本人向けになっているかもしれない。

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ここWaitrose に限らないが、スーパーマーケットで日本食材を調査する際には、商品の置かれているのが "Oriental" コーナーの棚であるかどうかにも注目する必要がある。

Orientalコーナーとは、アジア食材がまとめて置いてあるスペースのことで、日本人を含むアジア人や、アジア食材に関心を持つ客層が立ち寄る。

もちろん、Orientalコーナーに日本食材が置かれるのは喜ばしいことだ。ただ、このスペースが近日中にどんどん拡張されるとは思えないから、日本食材を増やすということは、中国やタイの食材を減らすということと同義だ。現地系メインストリームに商品を卸していながら、実はアジアでの戦いを挑んでいることを認識しなければならない。

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Orientalコーナーには、2種類の醤油、Kikkomanと香港系が置いてあった。この他、日本産の海苔、ガリ、わさび、味噌。これらと並んでS&Bのカレーがあったのには驚いた。さらに、日本では見ないブランドの各種調味料がずらりと並んでいて、このうち米酢とみりんは、日本産原料をマレーシアでパック詰めしたと書いてある。

中華・タイ系食材がメインのコーナーに日本産がなんとか食い込んでいるといった戦況か。

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Orientalコーナー以外の棚では、なかなか日本食材が見つからない。ようやく見つけたのは、ビールコーナーに並ぶアサヒの瓶と、インスタント味噌汁だった。

インスタント味噌汁は、カップスープのコーナーに2種類が並んでいた。これは、コーンポタージュなどのスープ類の代替品として、味噌汁が認識されていることを意味する。英国人の家庭への浸透ぶりが伺える。

新発売のタグのついた "Miso Tasty" を買ってみた。スマートな色彩とデザインが目に留まり、つい手を伸ばしてしまった。

商品の説明書に製造者の自信の程が見えて、興味を惹かれる。HPを覗いてみると、さらに商品への想いが溢れていた。味噌がなぜ体にいいのか、子供に食べさせても大丈夫か、作ってみたらお湯から味噌が分離してゆらゆらしているが心配ないかなど、初めて味噌に接する人でも安心できる説明が詳しく載っている。

原料の味噌は、長野県でアルプスのきれいな水を使って作られていると書いてある。自分で作ってみたら、少ししょっぱかった。異国の地で食材を売り込むとは、こういうことなんだな。

 

ロンドン食材調査はまだまだ続く。